東京都だけでも民間が運営している老人ホームは1,300件以上もあり、老人ホームの種類や費用によって、そのサービスは多種多様です。今回は「高級」と言われる有料老人ホームが一般の有料老人ホームと何が違うのかを、様々な角度からお伝えいたします。有料老人ホームによって、取り組みは様々となりますので、すべての「高級」有料老人ホームが、今回ご紹介する取り組みを行っているわけではありませんので、ご了承下さいませ。
設備について
一番わかりやすい特徴になるかと思います。入居される方に有料老人ホームとなるべく感じさせないように、ホテルのような内装の高級老人ホームが多いです。最近の傾向は重厚感のある造りより、カジュアルホテルのようなシックやポップな内装のところも増えてきています。
例えば、入り口が吹き抜けになっていたり、グランドピアノが置いてあったり、カウンターバーがあったりと有料老人ホームの工夫がここでみられます。開設から20年近く経っている有料老人ホームは、重厚感のある造りのところが多く、ご入居をご検討の世代の方からは落ち着くという意見もございます。
お部屋の設備も介護付有料老人ホームは18㎡が基準の広さですが、20㎡と広めだったり、更に広い部屋も用意していてミニキッチンや浴室も付いている有料老人ホームもあります。また最近ではIT技術も取り入れている有料老人ホームもあり、心拍数や脈拍数、睡眠状態も把握できるベッドに敷くマットが代表的なものと言えます。
私が驚いた変わった設備ですと、洗面台が縦に自動で動かせる(立って移動できた方が車椅子を必要とすることになっても状態に合わせて高さを調節できる)設備や居室内にリフト(ベルトを着けて上部から吊ってサポートするもの)が付いていた設備です。また、プールやスポーツジムのような設備があるところもございます。
コンシェルジュの配置
生活に関して相談を承るスタッフです。設備にも関係がありますが、一般の有料老人ホームはエントランスに事務所が見えるように設置されている所がほとんどですが、コンシェルジュを配置している有料老人ホームはカウンターの奥に事務所があるところが多く、ここも有料老人ホームと感じさせない工夫のポイントかと思います。
食事について
高級でも一般的な有料老人ホームでも、業務委託をしている業者が施設内で一から調理しているところが多いです。ただ、高級有料老人ホームはホテルで修業を積んだ方を料理長に据えたり、監修をお願いしていたりします。通常の食事では、和食と洋食や複数のメニューから選択できるところもあります。家庭料理が提供されることが多いですが、器が陶器で柄が細部まであったりと高級感のある盛り付けだったりもします。イベントの食事ではフルコースの料理が出ることもあります。これは、ご入居前も楽しまれていたであろう外食を想定したサービスです。なるべくご入居前と変わらない生活を送ってほしいという有料老人ホームの考えでもあります。
医療について
介護付有料老人ホームは、日中帯(9:00~18:00)に看護師が常駐している事が条件になります。高級有料老人ホームは、夜間も含めて24時間体制で看護師を常駐しているところが多いです。有料老人ホームの看護師は健康管理や慢性的な医療措置が必要な方の対応を行う為にいます。必要かどうかよりは、安心感を得られるためと思った方が良いかもしれません。
人員体制について
介護付有料老人ホームの人員配置は3:1(常勤換算として要介護以上の入居者様3名に対して介護・看護を行うスタッフが1名)が条件になります。高級有料老人ホームは、ほとんどがこの3:1の最低限の人員配置よりスタッフを多く配置していて、1.5:1~2.5:1の割合で配置をしております。一般の有料老人ホームですと、介護士が清掃も行うところが多いですが、高級有料老人ホームは、清掃も専任のスタッフに任せて、上記の人員配置に含めないところもあります。では、介護・看護に関わるスタッフが多いと何が良いのかという点を少し説明いたします。
3:1という人員配置は厚生労働省が日常生活の介護のケアをする人数として対応できると判断した数字です。そのため、スタッフは介護・看護以外の時間が割けない事もあります。人員配置が多いと介護・看護に携わる人員が多いので、余裕が生まれます。その余裕ができた時間で入居様の話をゆっくり聞くことができたり、レクリエーションやイベントに力を入れることが可能です。
リハビリについて
高級老人ホームの半数以上がリハビリにも力を入れています。機能訓練指導員を複数名常駐していたり、有名なリハビリテーション病院と提携していたりと様々な工夫がみられます。その方によって、必要な回数やリハビリの種類は異なるので、機能訓練指導員と相談のうえで最適なリハビリを提供しております。
レクリエーションについて
レクリエーションと聞くと、入居者様みんなで歌をうたったり、体操したりを思い浮かべる方が多いかと思います。そういった事も行いますが、高級有料老人ホームでは趣味活動を活かしたレクリエーションが多いです。外部講師を招いてフラワーアレンジメントや俳句、陶芸等のカルチャースクールのようなものを行っている有料老人ホームもあります。また、音楽家(オペラ歌手やピアニスト)を招いてコンサートをしたりと、ホームにいながらにして本格的な音楽を楽しめるイベントもあります。
その他のサービスについて
人員配置が高いからこそ、今まで挙げた特徴のほかに下記のような取り組みを行っているホームもあります。
病院への通院送迎と付添
基本的には訪問診療で日々の体調管理等は行いますが、検査が必要な症状で通院がどうしても必要な場合があります。そのような時は、ご家族様に車を出してもらったり、自費で介護タクシーを用意して頂くことが殆どです。ただ、高級有料老人ホームは別途費用が発生することはありますが、通院の送迎や付添がホームのスタッフで対応できることが多いです。普段の様子を見ているスタッフ(病院に付添いの際は看護師が付き添う場合は多い)が先生に説明することでより正確な診断が下せることもメリットの一つです。
個人で利用できる特別な時間
高級有料老人ホームの一部では、月に1時間~数時間を自由に利用できるサービスもあります。スタッフ一人を独占できる時間です。ゆっくり話を聞いてもらう、自宅に一緒に行く、歌舞伎や買い物や好きなものに付き合ってもらう等、様々な使い方ができます。例えば、大好きな買い物に行くために、日頃のリハビリを頑張れたりと、生活全般で良い刺激を生み出すきっかけになることもあります。
高級老人ホームと言っても様々な取り組みを行っています。ご自身や大切なご家族が今まで何を楽しみにされていたのか、どういった生活を送りたいのかで選ぶ有料老人ホームも変わってまいります。食事がお好きな方でしたら、先述した時にはフルコースも楽しめるホームが良いと思います。ゴルフ好きの方でしたら、リハビリを行い特別な時間にグリーンに出る事も夢ではありません。
私たち紹介センターの相談員が、しっかりとご要望を伺わせて、ご希望に一番添える有料老人ホームを紹介いたします。是非、こんな事できないよねと思わずにご相談下さいませ。
首都圏入居相談員室長代理 渡邉 智美
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