コロナ禍で迎える2年目の夏ですが、老人ホームで行っているレクリエーションにも動きが出てきましたので最近の状況をお伝えしていこうと思います。
新型コロナウイルス感染症の終息が見えず、東京では連日1000人を超える感染状況ですが、老人ホームに入居されている方や介護スタッフへのワクチン接種は2回目を終えているところも増えてきました。
可能な限りレクリエーションを開催!?
昨年はこのコロナウイルスの感染力が未知のもので、老人ホーム側も入居者を守るために家族との面会や外部講師を招いたレクリエーションを取りやめていたところも多くありました。現在もほとんどの老人ホームで大なり小なりの制限はありますが、以前と比べてだいぶ活動内容が広がってきたと感じます。
老人ホームのレクリエーションは高齢者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を向上させる目的があるため、老人ホーム側は出来る限りレクリエーションを開催しようと考えてくれています。
老人ホームの入居者は、日常生活においてなんらかの介護サポートが必要な方ですので、もともと外出や趣味活動が少ない傾向にあります。その上、新型コロナウイルス感染症予防によって外出する機会がめっきり減りました。そんなときの気軽な気分転換の手段がレクリエーションです。
楽しみや他の入居者とのコミュニケーションが取れる貴重な機会となっています。体操で大きく体を動かしたり、指先で細かい作業をすることや、脳トレや謎解きで頭を使うなど、心身共に機能維持を果たす重要な役割があります。
それでは、ここからいくつか実例と共に現状のレクリエーション内容を紹介していきたいと思います。
近所の公園や神社に散歩。外出で気分転換
老人ホームのレクリエーションにおいて、入居者やその家族から好評なのが、外出レクリエーションです。初詣やお花見、バスツアーや外食イベントなど、季節ごとのイベントに取り入れている老人ホームは多く、車椅子の方でも安心して参加できるように工夫されており、家族も同行したりと参加率が高いレクリエーションの一つです。しかし、昨今では、屋外であっても人が密集する場所や時間帯に大勢で参加する事が厳しくなってしまいました。入居者と介護スタッフの安全を守るためと分かっていても、やるせない気持ちになります。
ただ、最近は少しずつ変わってきました。近所の公園や神社に少人数で散歩に出かけたり、リハビリの一環で歩行訓練と称して機能訓練指導員と共に老人ホーム周辺を歩くなどしているところも出てきました。理学療法士などの機能訓練専任のスタッフが常駐している老人ホームや、入居の定員数が少ない小規模の老人ホームだからこそ出来ることだと思いますが、少なからず今までの老人ホームの中だけのレクリエーション活動よりも気分転換に繋がり、入居者のリハビリに対するモチベーション維持にも繋がっていると思います。
これを取り入れている、いくつかの老人ホームに話を伺ったところ、外出の機会を設けたことによって、入居者の表情が和らいだと感じているスタッフが多くいるようです。入居者からすれば、散歩をしながら機能訓練にも繋がっているので、普段は機能訓練に消極的な方も参加しやすいのではないでしょうか。もちろん、体調変化や感染予防には細心の注意を払っているので、外出先で飲食をする事や大勢が集まるところへは行けませんが、小人数・短時間・近場の外出という条件化で感染したという事例は今のところ聞きません。
オンラインレクリエーションも!
老人ホームの中で行うレクリエーションにも変化が出てきています。新型コロナウイルスが蔓延してから取り入れるところが多くなったのが、オンラインレクリエーションです。
オンラインレクリエーションとは、離れた場所とオンラインで画面を繋ぎ、音楽の演奏や社交ダンス・フラダンスなどを鑑賞したり、ヨガや体操をしたり、クイズに参加するなどのレクリエーションを指します。新たな取り組みとして、昨年秋ごろから今年の春先までトライアルで検証されていたのが、吉本興業やNTT東日本などが提供した≪笑い≫を届けるオンラインレクリエーションです。
レクリエーションの取り組みの中に≪笑い≫が入ることで、他者とのコミュニケーション力が向上し、脳が活性化され、ADLやQOLの向上にも繋がるのではないかと考えられています。オンラインであれば、映画鑑賞などの一方通行の配信ではなく、双方向のコミュニケーションが取れるのもメリットです。老人ホーム側にとっても、講師やボランティアの方を実際に呼ぶことによる感染リスクが軽減され、安全に楽しんでもらえるレクリエーションを提供できますし、レクリエーションを外部に依頼する事によって、介護スタッフの負担軽減にも繋がります。
レクリエーションは老人ホームの生活の中で大切なものですが、日々のメニューを考え、実行に移すのは介護スタッフですので外部委託が可能であれば、その分介護サービスの提供に専念できるのです。
オンライン観光などを取り入れている老人ホームもありますし、オンラインレクリエーションを提供している企業自体も増えてきていますので、オンラインレクリエーションは、これから活用の幅がどんどん広がっていくと思います。
コロナ禍で今まで普通に行うことができたレクリエーションですが、現状は外出イベントや大勢が密になるものは制限があります。しかし、そんな中でも、老人ホームやレクリエーションを企画している企業は今できるレクリエーションに活気を出そうと試行錯誤しながら取り組んでいます。これから老人ホームをお探しになる方も、すでにご検討されている方も、老人ホームが現在どんなレクリエーション活動を行っているかぜひ聞いてみてください。
首都圏相談室 室長 村上理絵
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