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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その2)

タイトル 有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書その2

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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)

3. 入居対象者の職業について

表3 男女別職業一覧

 入居対象者の職業は、年齢、男女比率などを踏まえ、当時の時代背景を考えた場合、「専業主婦」「無職」「公務員」「パート」「看護師」「栄養士」「教師」「保険外交員」など、女性が従事する仕事、または、女性が比較的従事しやすかった仕事が並んでいます。もう少し細かくみてみましょう。「男女別職業一覧」を見るとよくわかります。

 専業主婦(夫)が154人です。それに続き、会社員が113人になります。無職の74人は、専業
主婦だったという方と、今は無職という方とが入り混じっているように思えます。それに、自営業、公務員が続きます。意外と医師が少ないように感じます。多くの老人ホーム入居者には、元医師が一定数いるのですが・・・。

4. 入居対象者の既往歴について

表4 入居対象者の既往歴

 501人アンケートで、有効回答数が902件ということなので、アンケートの性質上、1人の対象者が複数の疾患を抱えているということがわかります。また、病名を俯瞰的に見てみると、高齢者特有の疾患がずらっと並んでいることもわかります。

 意外だったのは、全体の20%程度しか「認知症」既往歴のある人がいなかったと言う事実です。私は、50%程度は認知症ではないかと推察していました。なぜなら、肌感覚では、老人ホームへの入居動機は、認知症による問題行動の出現によるもの、というのが相場だと決まっているからです。したがって、少し意外なイメージを受けました。

表5 認知症既往症人数

 ただし、認知症疾患の176人のうち、年齢80歳以上の認知症疾患は、145人であり、全認知症疾患の82%を占めます。つまり、認知症疾患は、多くの方の指摘の通り、高齢化が進めば進むほど深刻な問題になっていくと考えることができます。

 また、疾病別に分類し直すと、循環器系の疾患が35%と最大で、次に認知症などの精神及び行動障害の20%と続きます。このアンケート結果から推察すると、高齢者は心筋梗塞や脳梗塞など循環器系の疾患から回復するも、その後遺症や回復状態の中で、ADLが低下、結果、在宅生活に障害が生まれ、老人ホーム入居を検討しなければならなくなると言う実態があるのではないかと考えます。

参考2 視覚障害者年齢別人数

 さらに、特記したいことは「失明」と「癌」の入居対象者の存在です。私の経験則から申し上げると、
1,000人に1人ぐらいの割で、全盲の高齢者が老人ホームに入居しているのではないかと推測するの
ですが、多くの老人ホームの場合、この全盲高齢者に対する介護支援が十分に行われているかどうかは、はなはだ疑問です。けして、多数派ではありませんが、身体障害、特に目や耳に障害を持つ高齢者に対する介護職員への指導や教育も、今後の老人ホーム運営の課題だと考えます。

 さらに、「癌」を既往歴としている対象者も少ないように感じています。これは、その疾患の性質上、完治せず、そのまま死に至ってしまうケースが多い為なのではないかと考えます。ただし、老人ホームの女性入居者の中には、一定数、乳がんを克服した入居者もいる為、「癌」を克服した場合は、既往歴として報告をしないケースがあるのではないかとも考えています。

 私の老人ホームの現場感覚で申し上げると、老人ホームの入居者の中には、あえて医療的な検査をせず、したがって「癌」か否かを不明確なまま、暮らしているケースも散見されます。したがって、高齢の場合、あえて「癌」かどうかを精査せず、放置していることも考えられる為、実際よりも数値が低く出ている可能性があります。

 なお、今回はアンケート項目として設定はしていませんが、今後の入居対象者調査では、「LGBT」
などの項目も入れる必要があるのではないかと感じています。
最後に、「既往歴なし」の健康な対象者が6名いることを特記しておきたいと思います。

5. 入居対象者の居住地について

表6 入居対象者居住地

 東京23区内にお住まいの対象者は39%、東京都下にお住いの対象者は8%、これに東京都という回答の2%を加えた東京都内在住の合計は49%になります。

 神奈川県は、横浜市が10%、川崎市は3%、茅ヶ崎市を含む湘南地区は8%です。神奈川県合計は22%になります。東京都、神奈川県で全体の71%を占めています。埼玉県は9%、千葉県は12%です。
1都3県で全相談件数の92%に上ります。また、特筆すべきは、首都圏以外の相談が24件、さらに、海外居住の相談者が1名いるところです。

 もう少し、地域性の詳細についてみていきます。詳細一覧は用意していませんが、アンケート結果では、東京都品川区、杉並区、大田区、世田谷区など、一般的に人気のある都内の住宅地や神奈川県横浜市、川崎市や湘南地域、埼玉県さいたま市、千葉県市川市、船橋市など、居住人口が多く、利便性の高い市区町村に住んでいる入居対象者が多いという結果が出ています。

 興味深い現象は、東京都内に居住している対象者が圧倒的に多いにもかかわらず、渋谷区に居住している対象者は0人でした。さらに、港区、千代田区など超・都心部に居住している対象者も少数派です。

 これは想像ですが、やはり、地価の高いエリアでは、相続税などの支払いが生じるため、長期間にわたり居住し続けることは難しく、徐々に郊外へ郊外へという流れになっているのではないかと思います。千代田区や港区から見れば、品川区、杉並区、世田谷区などは郊外であり、さらに、これらのエリアから見れば、横浜市や川崎市、湘南地区などは郊外であるということだと思います。

 なお、千代田区や港区などは、有名企業などの経営者など、富裕層も多く居住している地域なので、要介護状態になっても、自宅を改修したり、介護看護職員を雇用するなどして、自宅で対応しているケースや病院で特別に対応しているケースも多いのではないかと推測します。

(つづく)

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