みんかい | 民間介護施設紹介センター

家族信託と成年後見(任意後見)

家族信託と成年後見


今回のコラムは、「家族信託」と「任意後見」についてです。執筆をお願いしたのは、合同会社福祉ネットの業務社員である遠山眞人さんです。行政書士でもある遠山さんは、日々、高齢者に対し、遺言、成年後見、家族信託などの法的な支援に取り組んでいます。

いざ、認知症になってしまうと、さまざまな不便が出現します。遠山さんの解説の通り、法律行為はもちろん、銀行などでお金の払い出しにも不便さが出てきます。

よく言われることですが、親が認知症になってしまった為に、親の預金が払い出せず、お金があるにもかかわらず、親の介護費用などの支払いができなくなって、子供たちが立て替えなくてはならないとか、また、突然死んでしまい、葬式必要などの支払いが親の口座からできなくなったという話を。

今回の家族信託と任意後見のコラムを読んで、もし、興味や不安を少しでも感じた方は、まずは、しっかりと自身で勉強することをお勧めします。専門家に丸投げでは、ダメです。まずは、自ら興味を持って勉強し、その上で、専門家の助言を聞くことが、正しく制度を理解する為の近道だと思います。

制度は万能ではありません。自分に合った制度を活用するべきだと思います。

「家族信託」と「任意後見」のお話し

ある日当然、医師にあなたは認知症と言われたら・・・。

誰しも想定していないことですが、ある日突然、認知症は発症します。きっかけは、熱中症の後遺症や転倒などは無論のこと、風邪の後遺症、大事なペットが死んでしまった時など様々なケースがあります。75歳を超えての免許の更新などでの発覚もあり得ます。では、認知症と診断されるとどうなってしまうのでしょう?

認知症発症と家族信託、任意後見制度

認知症になってしまうと、困ったことに、自分が経営する賃貸アパートマンションなどの管理や経営が出来なくなりますし、ご自宅の修繕や不動産の売買が一切できなくなります。成年後見人(弁護士などの法律家)という人がやってきて、勝手に管理するようになります。
もちろん預貯金も赤の他人に管理されてしまいます。これを成年後見制度と言います。この制度の目的は、悪質なオレオレ詐欺などからあなたの財産を守るためのものです。だからそうなってしまったら仕方がありませんが・・・・。それ以前に何か対策(方法)はないでしょうか?

「家族信託」という方法があります

ご実家や家族で経営する賃貸アパートなど、ご子息や娘さんなどが、あなたの代わりに不動産の管理・売買が可能となる方法があります。これを家族信託といいます。

後々のことを考えると、自宅の生前贈与をあまり早くしてしまうのもトラブルの元かと思います。信託とは「信じて託す」と書きますが、あなたが病気になって判断力が低下してしまっても、あなたの代わりに信頼できる人(家族など)が不動産などの管理や売買を行います。家族信託は「契約」なので、託する人(家族など)との契約だけで大丈夫です。

「任意後見制度」という方法もあります

成年後見というのは、先ほども申し上げましたようにあなたの財産を守るための法律です。成年後見制度には二つの種類があります。

家庭裁判所から法律の専門家があなたの管理にやってくるのは「法定後見」、あらかじめ自分が認知症になったときに、家族などの親しい人に後見人を指定しておく方法を「任意後見」といいます。信頼できる家族のひとりと任意後見契約をあらかじめ結んでおけば、いざとなったら安心です。

ただし、家族信託契約と異なり、不動産などの売買や実家のリフォームなど、特にお金がかかりそうなときには、いちいち家庭裁判所の許しを得なければなりません。

家族信託と任意後見を組み合わせる方法もあります

家族信託は、成年後見制度と比べ、自由度は高いのですが、その反面、いきなり財産管理を任され、金銭の管理など、家族信託だけでは、不安と感じる人もいます。どうしてもご心配であれば、自宅は家族信託契約にして、お金の管理は、任意後見人が日々の通帳管理を行うのも良いでしょう。

なお、ご家族に浪費家の方がいる場合は、弁護士などの法定後見人がにらみを利かすのもありかと思います。

老夫婦が弁護士から説明を受けるイラスト

遺言書はお書きでしょうか?

遺言書を作成することはとても重要なのですが、遺言書は亡くなったあとのことを書くものなので、認知症対策にはなりません。

私は1960年生まれなのですが、1960年代の頃の男性の平均寿命は70代だったので、私が子供の頃は60代や70代で大往生するのは普通でした。ちなみに漫画サザエさんの磯野浪平さんの年齢は53歳です。長寿命化の反面、寝たきり、認知症等のリスクは増えており、対策は不可欠です。遺言書と合わせて、家族信託契約や任意後見契約についても考えておきましょう。

費用について

ここ数年、家族信託の専門家が増えました。弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、新しい法律なので、さまざま専門家がいます。専門家への報酬としては、戸建ての自宅であれば、40万円から60万円程度かかります。

また、これより安い価格の専門家は、お薦めできません。それと初期費用が、安い替わりに長期的に費用を負担するケースもあり、注意が必要です。なお、任意後見契約は15万から30万くらいはかかります。

いつ頃考えるのが良いか?

運転免許の返上(75歳)前後が良いのではないでしょうか?体力・気力・集中力が衰えたときがタイミングではないかと思います。

<執筆者のご紹介>

行政書士 遠山眞人先生

遠山眞人
行政書士
合同会社福祉ネット業務社員
遠山行政書士事務所代表

<プロフィール>
大学卒業後
プログラマーを経て、丸善石油(現コスモ石油)特約店営業を経験後建材メーカー役員を52歳で退任後
2013年9月より、遠山行政書士事務所代表、合同会社福祉ネット業務社員
相続業務(戸籍調査、遺産分割協議書作成、遺言書作成)
任意後見契約書作成、家族信託契約書作成
施設への入居のための身元保証サービスなどを専門業務とする。

<連絡先>
合同会社福祉ネット
〒143-0014東京都大田区大森中2丁目15-5 ダイヤモンドビル大森中605
TEL:03-6436-8903
Mail:aikido53★icloud.com(★を@へ置き換えてください)