元気なうちから老人ホームに入居することはアリかナシか?
- 毎日食事を作るのが面倒になってきました。
- 持病を抱えながら一人で生活する不安から解放されたいです。
- 息子や娘に負担をかけたくないのです。
年を重ね、これからの人生設計を考えた時に老人ホームへの入居をひとつの選択肢と考える方も多いかと思います。最近は、老人ホームに入居しながら仕事場に向かう方もいらっしゃるようです。
三度々々の食事が提供され、温泉のような大浴場が好きな時に入れて、スポーツジムが併設されていて、好きなカルチャークラブに参加して仲間を作る事が出来て、場合によっては掃除・洗濯もしてくれる環境が整っているホームもあるため、訳あっておひとり様になっている方にとっては一般的な住宅で暮らすより格段に便利であると考えられているようです。
とはいえ、上記にあるホームは料金も高く、ごく一部の高齢者が利用するような超高級老人ホームに該当します。
それほど至れり尽くせりの高額なホームではなく、温泉のような大浴場やスポーツジムは必要ない・・というお元気な高齢者の方々のために環境が整備されたホームも多くありますので、どうぞご安心ください。
老人ホームへの入居タイミングとは
みなさんは、老人ホームへの入居を「どのタイミング」で考えられますか?
多くの方は「介護が必要になった時」とお考えになることでしょう。
確かにその通りだと思います。私も多くのご相談をお受けしている中で圧倒的に多いタイミングです。ただ「そこにご本人の意思が反映されない」ことが多く、ご家族様もそのことをわかっているため後ろめたさや心苦しさを抱えられていることが多く見受けられます。
- 思いもかけず事故に遭ってしまった
- 急に持病が悪化して普段の生活ができなくなった
- 久しぶりに会ったら認知症が進行してしまっていた
など、状況によりますがご自身の判断ができない状態の場合がタイミングになってしまいます。できることならご自身で納得がゆくホームにご入居したいものですよね。
先日、ご相談をいただいた70歳代の女性(独居:自立)は2年ほど前から十数か所のホームをご見学されていました。ホームに入居したいと思った理由は大きく6つ。
- 食事は作りたいのでキッチン常備は必須。ただし、作らないときもあるのでホームで提供される食事を利用する事もある
- 居室の大きさは現在の部屋にあるものが全てはいるだけの大きさが欲しい(約40㎡)
- せっかくホームに入居するのだから医療体制が整っていて「終の住み家」になるところがいい
- 今住んでいる集合住宅ではゴミ出しが「前日出しは不可、当日の朝6時~8時まで出すこと」になっていて面倒でストレスなので、そこから解放されたい
- これから長生きする事を予想して、出来るだけ安い予算で
- 公共交通機関(電車・バス)の駅が近くにある というものでした。
たくさんのホームを見学したけれど・・・
役所でエリアの老人ホーム一覧を入手され、書店に行って老人ホームの関連書籍をたくさん買い込み、目星を付けたホームに自ら電話して資料を取り寄せて熟読し、さらに興味を持ったところに電話をかけメジャーと方位磁石を持って見学して・・・を繰り返すこと十数件。
まだ見落としているホームがあるのではないか?
もっと希望に叶うホームがあるのではないか?
整理がつかず辿り着いたのが弊社だったようです。
6点のご希望全てが叶うホームが存在するか否かは別にして、まだまだご見学は続きそうですが、色々なホームをご見学されてゆくうちにご自身の頭の中で「絶対に譲れない条件」と「そうだったらいいな・・という条件」の仕分けができるようになったそうです。
不動産取引で言う実需(自らが住む家探し)ではよく言われることですが、家探し(賃貸物件)は「頭の中の整理」=『消去法』です。
あれも欲しい、これも捨てがたい、とすべての希望をかなえようとすると物件はまず見つけられません。
結果的にはその不動産営業マンより『それはもうご自身で建てるしかありませんね』と苦渋の言葉を投げかけられてしまいます。
有料老人ホームの場合、一般的な賃貸住宅より明らかに数が少ない為、選択肢は限られてしまいます。このお客様の場合、多くのホーム見学を通してそのことが多少なりとも理解出来たことはホーム探しをする上で大きな前進だったのではないでしょうか?
ただ、このお客様と関わりを持つうちにはっきりしたことがあります。
このお客様がホームを探すきっかけとなったものは④番目にあります「ゴミ出しの面倒さ」であったことは間違いないようです。
そこが出発点となり、引っ越したい→食事の支度も面倒に感じるし、一人暮らしの不安もあるから有料老人ホームがいいのではないか?→まだ元気だから外出するのに利便性が良いところがいい→せっかく住むのだから見晴らしがよくて陽当りが良くてお部屋もそこそこ大きい方が良い→また引越すのも面倒だし「終の住み家」になるように医療的な連携とか介護が必要になってもしっかりフォローしてくれるところがいい・・と想像が膨らんでゆきました。
この方のように、老人ホームへの入居を選択肢としてお考えになるタイミングは人それぞれのようです。
先に書きましたように、「お元気なうちからホームに入居する」のはとても良いことだと思っています。ただ、ご自身が将来どのような身体状況になっているのか?お金(蓄え)はどのようになっているのか?しっかり吟味することが肝心です。
人生50年とは織田信長の時代です。
今では90歳、100歳のお元気なご高齢者がたくさんいらっしゃる時代です。
よく家族様から『〇〇歳まで生きているという確証があれば予算も立てられやすいのだけれど、こればかりは誰にもわからないから大変なんですよね。』というお言葉をお聞きします。
身体的な変化に対しての問題は、ホームの取り組みやスタイルによって解消されるケースはあります。
あるホームではお元気な方向けの棟(フロア)と介護は必要な方向けの棟(フロア)を同一建物内、もしくは隣同士に建てて住み分けをしています。
お元気な方向けの棟で長年生活をされながら、加齢・身体状況の変化から介護を要するお身体になった時に介護棟に住み替えが可能なる仕組みです。(この場合は住み替えの際の費用など各ホームによって様々ですので確認が必要です)
この場合であれば、将来的な転居・お引越しというストレスが軽減され、住み慣れた地域でおなじみのケアスタッフに囲まれて生活が営めそうです。
ただ、2つ目の金銭的な問題に関しては人それぞれでありとても難しい問題ですね。
それこそ「〇〇歳までお世話になる」と期間限定の話ではない為、このことを考え出したら夜も眠れなくなってしまいそうです。
貯蓄(動産・不動産などの資産)と受給年金額とを照らし合わせライフプランを設計してみてください。
急な体調変化によって入院をすることもあります。
その時はホームの費用(家賃や管理費など)はどのようになるのか?
多額の入居一時金を払ったのに状態によって追い出されることってあるのだろうか?
など、その時々のご事情に照らし合わせた対応方法がホームの重要事項説明書に明記されていることも多くありますので、しっかりした同席者(我々みんかい相談員もその一人として)を立ててお考えいただくことが最善かと思っております。
みんかい事業部 名古屋相談室室長 渡辺大志
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