老人ホームと一口に言っても多種多様。様々なタイプのものがあります。さらに、入居基準も様々、費用も様々です。しかも、わかり難いときています。時間の無い現代人の皆様が、これらのことを正しく理解し、有益に活用していくことは、実は至難の業になります。
そんな時は、私たちのような紹介センターを活用するべきです。ということが本コラムの主張ですが、けしてこれは、みんかいを使ってください、と言うことではありません。素人の人が、一筋縄では理解することができないもの。それが老人ホームなのです。
老人ホームを探した事はありますか?
たいていの人は、有料老人ホームに関わる機会は、ほぼなく、必要に迫られて探さざる得ない事がほとんどかと思います。いざという時のために、知っておいて損はない有料老人ホームの種類と費用、選ぶ時のポイントについて説明したいと思います。
有料老人ホームを探す前に、まずは「有料老人ホームへの入居動機」を確認しておきましょう。「在宅生活が不安なので、24時間の介護サービスを受けたい」「退院後、自宅に戻れないので有料老人ホームでケアを受けたい」「同年代の人たちと一緒に楽しく生活したい」など、人によって理由は異なります。
理想の有料老人ホームの探し方は、「理由」によって違ってくるため、入居動機を明確にしておくことが大切です。 入居動機がはっきりすれば、それに沿って有料老人ホームに求める優先順位を定めることができます。
たとえば、入居する際の費用や月額利用料といった料金体系、立地、受けられる介護・医療サービス、食事内容、日々の生活を豊かにするレクリエーションやリハビリテーションなど、入居するうえで何を優先するのか、自分の条件を明確にしておくことが重要です。
老人ホームには入居資格がある。
有料老人ホームは誰でもが入れるわけではなく、入居資格が設けられています。資格はホームごとに異なっており、入居時に要介護認定を受けていないと入居ができないホームもあれば、入居時に介護認定が「非該当(自立)」の人でも入居できるホーム、逆に「非該当」の人しか新規入居ができないホームもあります。また、65歳以上などと年齢制限が設けられている場合もあります。
有料老人ホームには「介護付き」と「住宅型」があります。違いは、サービス体系が異なるだけで料金や提供されるサービスに大差はありません。それよりも、各ホームのスタッフの人員体制、部屋や共用部分の広さ、立地、食事、レクリエーションなどによって、入居時にかかる費用や月額利用料に差が出てきます。どちらも終の棲家(ついのすみか)としての役割が大いに期待できます。
「介護付き」「住宅型」ともに、24時間介護スタッフが介護を行い、胃ろうなどの医療行為のために看護師が夜間配置されているホームも増えています。介護度や医療依存度が高い入居者でもホームの中でケアを受けられるようになっています。そのほかにも、自由度が高く比較的介護度が軽度な人や自立度の高い人向けに、「カラオケルーム」や「温泉」などの娯楽設備の充実を図るホームも増えています。ただし、入居者の介護度が重度化したり、認知症を発症すると、退去や介護用居室への転居などを求められる場合があることには注意が必要です。
高齢者向け賃貸住宅もある
高齢者の住まいには、有料老人ホームのほかに高齢者向けの賃貸住宅もあります。2011年4月、高齢者住まい法の改正により、それまで3種類あった高齢者向けの賃貸住宅が廃止・一元化され、「サービス付き高齢者向け住宅」となったもので、略して「サ高住」もしくは「サ付」と呼ばれることもあります。
サービス付き高齢者向け住宅は、簡単に言えば、バリアフリーや居室面積原則25平方メートル以上という一定の基準を満たした「住宅」に、安否確認や生活相談サービスなどの「サービス」がついた高齢者向けの住まいです。高齢者住まい法によって、入居者の同意のない一方的な契約解除が禁じられていることが特徴です。
この住まいはまったく新しいタイプのものではなく、従来から一部にはありました。その一方で、バリアフリー化がなされておらず、安否確認や見守り体制も不十分な高齢者向け住宅も存在していました。そこで、高齢者が安心して暮らせる住宅を供給するために、その基準を定めたわけです。サービス付き高齢者向け住宅は、登場以降、急速に増加しており、今後も増加するものと見込まれています。
サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームに比べるとゆったりとしています。居室の中に、原則として台所、トイレ、浴室、収納設備を設置すること、また手すりの設置、段差の解消、車椅子に対応できる廊下幅の確保など、3点以上のバリアフリーが条件です。
さらにサービスに関する基準として、緊急通報および安否確認サービス、職員の日中の常駐といった生活相談サービスが求められています。
これらはあくまでも最低限の基準ですので、運営事業者によっては、24時間介護職員を常駐させる、デイサービスや訪問介護事業所を建物に併設する、医療機関と連携を図りながら在宅医療を受けられるようにするなど、さまざまなサービスを取り入れようとしています。
サービス付き高齢者向け住宅は、まだ介護を必要としない人から要介護者まで、幅広く利用できます。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの介護施設に比べて生活の自由度は高く、自分のペースで生活できます。しかし、住宅によって設備やサービスが大きく異なりますので、事前に調べておくことが大切です。
その住宅の中でどのような生活が送れるのか、また将来、介護が必要になった際にはどういったサービスが受けられるのか、それは安心できる体制なのか、などをしっかり見極めて選ばなくてはなりません。
老人ホームの費用はわかり難いと言われている。
有料老人ホームの費用はわかりにくいと言われます。有料老人ホームの費用は、家賃に当たる入居時費用と、管理費や生活費(食費など)に該当する月額利用料に分かれます。
入居費用について
入居費用は、入居時に一時金を納める「入居一時金方式」、入居費用を家賃ないし家賃相当額として月額利用料に上乗せして支払う「月払方式」、その二つから任意で選べる「選択方式」の3種類が主流です。そのほか、1年ごとに家賃相当額を前払いする「年払方式」を取り入れているホームもあります。
最近、新規開設される有料老人ホームは「選択方式」をとるケースが増えており、パンフレットにおいて、入居時の費用が「30万~3,000万円」などと大きな幅で表記されているのは「選択方式」を採用しているからです。
入居費用の支払方式は多様化しつつありますが、その権利形態については大半の有料老人ホームは「利用権方式」を採用しています。
利用権方式とは、各居室や食堂、浴室などの共用部、そのほかの生活支援や介護サービスなどを終身にわたって利用する権利に対価を支払うやり方で、その対価の全額または一部を前払金として入居時に納めるのが入居一時金です。入居費用が「月払方式」でも、権利形態が「利用権方式」の場合は、その対価を月額利用料に上乗せして月々支払うことになります。
ゴルフの会員権に似たシステムですが、会員権と違うところは、入居後、利用した期間に応じて、入居一時金が「償却」という有料老人ホーム独特の制度によって取り崩され、ホーム側に回収されていくことです。
一般に、入居時に初期償却として20%~30%程度が償却され、その後5年から長い場合は15年ほどかけて全額が償却されます。定められている償却年数以内に退去した場合は規定の金額が返還されますが、償却後は、退去しても返還金はありません。
要するに、入居一時金は毎月ないし毎年目減りしていく仕組みです。また、入居一時金は、「入居金」や「一時金」などホームによって名称が違うほか、その位置づけや償却率も異なっています。
月額利用料金について
一方、毎月支払う月額利用料は、主に施設の維持や人件費などの管理費と食費、光熱費から構成されます。食費は大半の有料老人ホームは、喫食した分のみの支払いですが、一部に厨房管理費として定額の費用が必要となるホームもあります。また光熱費に関しても定額制と実費精算制があります。
月額利用料は、これらの費用に公的介護保険の自己負担額が加わりますが、その金額は入居者の要介護度によって異なります。また、入居費用が「月払方式」の場合や、入居時に支払った入居一時金が「利用権」の全額前払いでない場合は、家賃ないし家賃相当額が月額利用料に加わります。
そのほか、ホームのなかには、介護サービスにオプション料金を設定している場合があります。たとえば、居室清掃や買い物代行、リネンのレンタル、規定回数以上の入浴は多くの場合、別途料金が必要です。どのサービスにどのくらいの料金がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。
上乗せ介護費
さらに「上乗せ介護費」が必要となるホームもあります。これは、有料老人ホームの人員体制の最低基準である「要介護者3名に対して介護スタッフ1名」を上回る配置がなされている際に発生するもので、スタッフの人件費に充てられます。なお、入居一時金に「上乗せ介護費」の利用権が含まれている場合もあります。
このように有料老人ホームの料金体系は複雑かつ多種多様です。料金の標準モデルというものも存在しません。費用を見積もる際は、料金に対する疑問や不明点を質問し、納得のいくまで説明を受けておくことが欠かせません。老人ホームへ入居した後に費用の支払いが困難なことが判明した場合には、別の有料老人ホームを探さなければなりません。
有料老人ホームのまとめ
高齢者のための住まいは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のほかにも、高齢者向けの分譲マンションや公的介護保険の施設サービスと呼ばれる介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、認知症の人が生活する認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など、ひとくくりにできないほど多様化が進んでいます。
選ぶ際には、入居予定者の身体状況や理想の生活と照らし合わせながら、必要な情報を集めて蓄積し、理想の住まいの形を思い描くことが大切です。
高齢者向けの住まいに関する情報は、雑誌やウェブサイト、新聞広告など、収集に困らないほど出回っています。述べてきたとおり高齢者の住まいは多種多様化しているうえ、費用も複雑です。入居してから“こんなはずではなかった”と後悔しないためにも、有料老人ホームなどの紹介事業者を活用するのも有効な手段です。
その人のニーズに合った有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を無料で紹介し、見学の取次もします。高齢者の住まいの情報を豊富にもつプロだけに、アドバイスも的確です。
単に紹介だけではなく、複雑な料金体系や、受けられる医療・介護サービス、公的介護保険の仕組みまで説明してくれるので、どやって老人ホームを探したら良いかわからないと不安を抱かれている方は、紹介事業者を活用してみるとよいかと思います。
(文:みんかいコールセンター 二見)
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