老人ホームとグループホーム
こんにちは。みんかい相談員の入江です!
実家で暮らしている自分の親が、もう一人暮らしは難しいだろうなと感じる時はどんな時でしょう。身体的な衰えから階段や段差が生活の障害となり、転倒することが増えて怪我することが多くなった時。時には骨折して入院し、リハビリしてやっとこさ退院して自宅に戻ったはいいけど、また転倒を繰り返してしまう。入院のたびにベッドで寝たきりの時間を多く過ごすので、さらに筋力を低下させてしまうという悪循環におちいり自宅での生活に不安や危機感を覚える時。あるいは、認知症を発症してしまい、物忘れの症状が日常生活に支障をきたす時ではないでしょうか。
認知症と物忘れとの違い
親が認知症となると、どんな風に困ることとが増えていくのでしょう。
まず、認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。もの覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりしますが、このような症状は「老化によるもの忘れ」によるものだと言われています。認知症は、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れることで引き起こされる症状や状態のことをいいます。認知症が進行すると、だんだんとものごとを理解する力や判断する力がなくなり、日常生活に支障が出てくるようになります。
例えば、ご飯を食べたことを自覚しているけれども、メニューが思い出せないというのは加齢によるもの忘れです。でも、ご飯を食べたこと自体を忘れてしまっている場合は認知症の可能性があります。
自宅の鍵やお財布、銀行の通帳などの貴重品をなくしてしまったとき、加齢によるもの忘れがある人は、自分で努力して見つけようとします。認知症の方は、誰かによって盗られたなどと他人のせいにしてしまいます。
認知症には「中核症状」と「行動・心理症状」のふたつの症状があると言われています。「中核症状」とは、脳の神経細胞が壊れていくことによって引き起こされる「記憶障害」、「見当識障害」、「理解力・判断力の障害」、「実行機能障害」、「感情表現の変化」などが挙げられます。
「記憶障害」は、新しいことを記憶できず、ついさっき話していたことも思い出せなくなります。昔の話だけはしっかり覚えているんです〜なんていうご家族様もいらっしゃいますが、認知症が進行すると覚えていたはずの記憶も徐々に失われていきます。
「見当識障害」は、時間や日にち、曜日、季節の感覚が薄れ、自分がどこにいるかなどの基本的な状況把握ができなくなります。外出先で自宅への帰り方がわからなくなったり、帰り道がわからなくなることもあります。自分の年齢や家族のこと、家族の生死に関する記憶も薄れていきます。
認知症の具体的な症状とは
「理解力・判断力の障害」は、思考スピードが低下してふたつ以上のことが重なると、話している相手が誰かわからなくなるなど、些細な変化などいつもと違う出来事に混乱をきたすなどの症状が起こりやすくなります。自動販売機や自動改札、銀行ATMの前でまごついたりしている方は、もしかしたらこうした認知症による症状が影響しているかもしれません。
「実行機能障害」とは、買い物で同じものを何度も購入してしまったり、食事に支度ができなくなったりなど自分で計画を立てられなくなったり、予想外の変化に対応できなくなるなど物事をスムーズに進められなくなります。
「感情表現の変化」については、その場の状況がうまく認識できなくなることにより、周囲が予測しない思いがけない感情の反応を示すような症状が出ます。急に泣き出してしまったり、怒り出してしまったりする高齢者は認知症である可能性もあります。
「行動・心理症状」とは、本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因が絡み合って起こるうつ状態や妄想といった心理面・行動面の症状になります。具体的には、今まで出来てきたことがうまく出来なくなっていることを自覚し、自信を失って全てを面倒になってしまう意欲低下や、自分のしまい忘れが原因だったとしても、他人が泥棒に入った、嫁が盗ったなどの物盗られ妄想などが挙げられます。
グループホームという施設もある
このような認知症の方には、老人ホーム紹介センターがご提案するのは「老人ホーム」のほかに「グループホーム」がございます。
グループホームは、まず認知症に特化している施設です。そのため、入居するにあたっては医師から認知症と診断されていることが条件となります。そのほかの入居要件は要支援2から要介護5までとなります。地域密着型サービスといわれ、グループホームのある市区町村に住民票のある方が入居対象となります。入居者9名を1つのグループ(ユニット)として、家庭的な雰囲気の中で認知症の高齢者が共同生活を送ることにより、認知症の症状の進行を穏やかにすることを目的としています。
認知症の進行を穏やかにするとはどういうことかといいますと、入居者には掃除や洗濯、食事の準備や後片付けなどの身の回りのことを自分でしてもらい、また出来ないことは助け合いながら生活することで日常生活そのものがリハビリとなるよう工夫しているということです。
ただ、9名の入居者に対して介護職員も1〜2名程度なので基本的に自立し生活ができる方が入居対象となり、そもそも寝たきりであったり終末期を迎えられている方は入居の対象となりません。介護士(ヘルパー)は24時間常駐しますが、看護師がいないので看取りの態勢が取れないことがあるからです。
住み慣れた地域で、少人数で共同生活を送るのでコミュニケーションが取りやすく、馴染みやすい関係を築きやすいです。また、人の入れ替わりも少なく、入居者や介護士の顔も覚えやすく身近に感じる環境のため、人の入れ替わりや新しい人の名前を覚える認知症の方には混乱をすることも少なくメリットがあります。
デメリットは、どうしてもスタッフの人員配置から人手に限りがあり、介護量が増えてくると退所を促されてしまう可能性があるということです。前述したとおり看護師も常駐しないため看取りの対応をしていないところが多いです。家庭的でアットホームな雰囲気を好む方には非常に向いているとも言えますが、入居対象者となる方の持病や状況によってグループホームが合う、合わないといった問題も出てきます。ご自身の親御さんの状況などを把握しながら検討していく必要があります。
一般的な老人ホームは24時間ヘルパーがホーム内に常駐し、また看護師も昼間の時間帯は毎日いるという体制です。入居者3名に対して平均して1名のスタッフが配置されるような人員居配置基準というものも設けられているため、グループホームよりは身体的・医療的な介護サービスを提供できる環境がございます。ただ、居室数は一般的に60~70室前後となっており、グループホームよりも部屋数も多く大所帯というイメージになります。
また、小規模なグループホームを心地よいと感じられるかどうか、ご入居の対象となられる方の性格にもよるところがあります。認知症を患っているからといって、必ずしもグループホームが適しているとも言えない場合があります。そもそも共同生活を苦手とされる方は、小規模で入居者同士の距離感やスタッフとの距離感が近すぎることを嫌がる場合もございます。
どのようなホームがご自身の親に合うのだろうかと迷われたときは、まずは老人ホーム紹介センター・みんかいへお問い合わせください。お手伝いさせていただきます!
みんかい首都圏相談室 相談員 入江 佳代
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