老人ホーム選びの極意とは?

老人ホーム選びの極意とは?

老人ホームランキングは意味がない

書籍やインターネットでよく目にするキーワード ○○ランキング、御多分に洩れず「有料老人ホーム 」のランキングも様々な媒体でお見かけします。この業界の中では、長く有料老人ホームの紹介業をやらせてもらっている当社ですが、格付け的な取材協力やアンケートに率先して参加することはしません。

入社したばかりの頃は、それこそ一番皆さんが気になる部分を有料老人ホームの紹介をしている会社だからこそするものじゃないの?? 会社名も載って宣伝にもなるのに??と安易に疑問に思った事がありましたが、ご相談いただく方や老人ホームの方と直接関わらせてもらうようになってからは、その意味がよくわかりました。

老人ホームに入居される背景やご事情も様々で、実際にご生活される「おひとりおひとり」に合っているかが大切な事であって“良い”と言われる環境そのものが、千差万別です。今現在ご生活されている方や現場で働いている方がそこにいるのに「順位」は関係なく、老人ホームを紹介する立場として失礼になってしまうという考え方です。

ご想像の通り、とあるランキングで下位もしくはランキング圏外の有料老人ホームだったとしても、ご本人、ご家族がご満足されているというのはよくある事です。ご紹介の際に、ご本人、ご家族、ケースによりその方に関わっている医療・介護の専門職の方からお話しを伺いながら有料老人ホームへ相談、確認をおこないマッチしていれば、順位は全く関係なくご紹介します。至ってシンプルで当たり前な理由です。

東京の街並み

東京都の介護施設はセブンイレブンと同じぐらいあります

ランキングに限らず、インターネットではいつでも便利に有料老人ホームはじめ介護施設の情報を得る事が出来きます。周辺相場や有料老人ホームの館内の様子なども動画で紹介されているものもあり、忙しい方には便利でとても有難いサイトが揃っています。見れば見るほど、入居金や月額費用もあまり変りなく類型も同じ施設が近隣に数多く存在するエリアでは比較するのも大変です。ランキング紹介や口コミを調べたくなる事も大いにうなずけます。

首都圏の中でも施設数の多い東京の場合、公的施設・民間施設の両方を足すと3,000近くになります。東京都の介護施設数は、下記の通り公表されています。東京都福祉保健局 各施設一覧(令和3年5月1日現在)

種類施設数定員数
特別養護老人ホーム56651,212
介護老人保健施設20321,855
介護医療院
(移行中の介護療養型医療施設除く)
161,548
軽費老人ホーム
(ケアハウス、A・B型、都市型全て)
1394,276
有料老人ホーム95658,120
グループホーム67511,715
サービス付き高齢者向け住宅35914,806
合計施設数2,914

身近なところで同じ様な数字は、何があるか調べてみると、コンビニエンスストアのセブンイレブンの店舗数より多いのです。ちなみにセブンイレブンの東京都の店舗数は、2,810店舗(2021年5月末時点)です。

㈱セブン-イレブンジャパン ホームページより

話がそれましたが、先に述べたように地域によっては多種多様化された介護施設が数多くあります。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を紹介する情報やプロモーションも溢れていますが、今も変わらず大切な事は、直接顔を合わせてお悩み事を伺うこと。直接お会いしていなければ、お聞きできなかった事や気が付けなかった事がご提案やご紹介をさせてもらう上で大事なキーワードになる事も多々あります。

私の相談記録から

私の相談記録から

何年も前に自分が担当させて頂いたお客様ですが、お母様の入居先を探され、自宅近隣の有料老人ホームのパンフレットも10社以上お持ちで半分近く見学もされていらっしゃいました。有料老人ホームランキング特集の雑誌やインターネットで終の棲家の探し方など熱心に読み勉強されていました。

その相談者様(ご長女)のご両親は、3年ほど老老介護の状態で、認知症を患っている母80歳(要介護3)を87歳(要支援1)の父が自宅で介護していたが、母が感染症から敗血症をおこし入院中との事。

お会いした最初から、「数多くの有料老人ホームを見て紹介していると思うので、自分が見学に行った中でどこがお勧めか、他にも良いところがあれば紹介して欲しい」と相談者様が見学してきた有料老人ホームのパンフレットをダイニングテーブルに並べて確認するところから始まり、各施設の特徴をご説明下さり、そこだけ切り取るとご相談者様に有料老人ホームを私がご紹介いただいている図式です。

途中でご両親の詳しいご状況を聞こうと思っても「雑誌のランキングで上位の有料老人ホームも見に行こうと思うが、「紹介してる?」「評判はどう?」「それぞれ良いところはあったが、A老人ホームとB老人ホームどちらが手厚い?」「実際この中の有料老人ホームを紹介して入居された方いる? 」質問攻めの為、断念。

インプットされ過ぎた情報の整理が少し落ち着いたところで、「見学も色々してみたけど、父を納得させられるか不安・・・」本当の悩みは、その一言でした。ご自身で情報収集してどこを選ぶか迷っているのは確かですが、お父様にどうやってお母様の有料老人ホームの入居についての話をもっていくか、ご両親を離れ離れにしていいのか、一番悩まれているのはそこでした。

仲の良い夫婦

入居相談者の話によると・・・。

やっとご質問させて頂ける順番になったので、お母様のご状況や会話の端々で気になっていた主介護者であるお父様についてお話を伺いました。

①ケアマネージャーの勧めで特別養護老人ホームも待機していて、いざ入所が出来る事になったら父が断ってしまった。その時に大喧嘩になり、それ以来は施設入居についての話題を避けてきたこと。
②母が敗血症で一時は危険な状態まで陥り、自分が近くにいながら父と揉めることを避けてきたせいだと考え後悔していること。
③母の退院許可が出たら、自宅で自分が介護すると父が言い張り、また喧嘩になったこと。
④仲の良い夫婦だったので本当は、自宅で介護できるよう協力したいが現実的ではなく有料老人ホームを探していることに罪悪感があること。
⑤母の介護をしている父の事が心配で仕方ないが、喧嘩ばかりで距離をおきたいと思ってしまうこと。
⑥忙しい仕事と家事の合間を縫って有料老人ホームの事を調べているのに、父が全く聞き耳を持たず精神的にとてもきついこと。

ご本人達が有料老人ホームの入居に消極的なのは当然です。皆様ご自宅でご生活できる事が一番というに決まっています。また介護保険制度のない時代に、親の介護をしてきた方達ですから、他人に介護される施設への入居は感覚的に受け入れ難い方も多くいます。

さらに親子で施設入居の話をすると、義務の放棄、捨てられた感から不満や怒り、強い抵抗感を示され、ご家族とご本人で揉めてしまう事もあります。この日は、ご両親の今までのご生活の様子やご性格についてだけ伺い、こちらからの有料老人ホームのご紹介はせず、今後の段取りについて打合せして1回目の面談を終了しました。

入居当事者の本音

入居当事者の本音とは・・・。

2回目以降は、ご相談者様抜きでお父様とだけお話しさせて頂きました。地域包括からのご紹介という事で。イメージしていたより温厚で、囲碁にも通われ人付き合いも好む方でした。何度かご自宅や奥様の入院されている病院で面談をさせていただき、お父様のご意向に沿って有料老人ホームをご紹介させていただきました。

最終的には、ご相談者様(ご長女)が本命にしていたところとは、全く別の有料老人ホームをご紹介させていただき、ご夫婦で別々のお部屋でご入居されました。冒頭に書いた通り、その方その方で老人ホームにご入居される背景も違えば、マッチする選択肢も違います。相談者様もあれだけ有料老人ホームの評判を調べて、ランキングをチェックして、見学ノートも作っていましたが、父が決めたところならそれで自分も満足と。

この相談者様のように、選び方より何より、有料老人ホーム探しが家族の共通認識になるまでのプロセスで悩まれる方もとても多いのです。みんかいへご連絡を下さった相談者様だけではなく「キーパーソン」の方にも直接お会いし、お話しを聞かせてもらう事が大切です。

始めから一緒にお会いする事が出来れば良いのですが、ご状況により最初は別々でお話をうかがうなど、ご家族の関係性や状況に合わせて動けるのが、対面の紹介センターの強みでもあります。

(文:みんかい人事部 常田 妙)