認知症の相談事例
「認知症検査を断固拒否!受け入れてくれるホームが見つからない!!」
みんかい相談員便り ~認知症の相談事例~
みんかいには年間、15,000件を超える入居相談が寄せられます。
相談員はそんな相談者様やご入居者様に寄り添い、より良い生活をご提案すべく、日々奮闘しております。
今回は、たくさんのご相談のなかから、認知症の方の相談事例をいくつかご紹介いたします。
ケース1
認知症検査を断固拒否!受け入れてくれるホームが見つからない!!
Aさんは、奥様のBさんと二人暮らしの93歳の男性です。膀胱・腎臓の働きが悪く、バルーンカテーテルを留置しております。その為、定期的に通院が必要です。
Aさんにはお子様がいらっしゃいますが、遠方にお住まいの為、お孫様夫婦が、Aさん夫婦の見守りも兼ねて、同じマンションの隣のお部屋にお住まいになっておりました。お孫様の妻のCさんは介護士をされており、面倒見の良い明るい人柄で、Aさん夫婦にとって心強い存在でした。
年相応の物忘れなどは以前からあったものの、平穏に過ごしていたAさんでしたが、数年前から認知症と思われる症状が顕著になり、意思疎通が困難になってきてしまいました。
具体的な症状としては、
·入浴や排せつに支障が出てきた。
·誰もいないのに、壁に向かって誰かいるように話しかけたり、人が見えると言ったりする。
·家に泥棒が入ったなどの妄想がある。
·突然大声を出す。
·意思疎通がうまくいかない苛立ちからか、Cさんの腕を強くつかむ。
といったものです。
心配したBさんが認知症の検査を何度か勧めましたが、Aさんは、検査など面倒、認知症ではないから、絶対に受けない!と断固拒否されていました。Aさんに限らず、自身の認知症はなかなか受け入れ難いものです。
そうこうしているうちに、体力面でも問題が出てきました。
だんだんと筋力が低下し、杖を使って、両脇を支えてもらっても、よろよろとしか歩けないほどになってしまったのです。
それでもBさんとCさんの協力で、ご自宅での生活を続けておりましたが、Bさんが持病で入院することに。Cさんのご懐妊も重なり、いよいよ、Aさんのお世話が難しくなってしまいました。AさんからCさんに故意ではなくても、暴力が及ぶこともあるかもしれません。お腹の赤ちゃんに何かあったら取返しがつかない、という新たな不安も出てきます。
また、Bさんの退院後は、Bさんの介助も必要になりそうです。
家族で話し合った結果、Aさんに適切な生活と治療が可能な老人ホームへ入居してもらう以外の選択肢が無いという結論に至りました。
Cさんはホームに入るにはまず、かなり進行していると思われる認知症の検査に行かなければと考えました。認知症検査を断固拒否しているAさんに、どう説明して連れていくかは悩むところですが、思い切って、物忘れ外来に問い合わせました。直近の予約はいっぱいで、1ヶ月後の診療になるとのことでした。
1ヶ月もAさんを一人にしておくことはできません。そして受け入れてくれるホームはインターネットで調べてみても、検討もつきませんでした。
Cさんはどうしたものかと途方に暮れ、みんかいのホームページに問合せのメールをくださいました。
ご相談内容を整理すると、
·認知症が進行していると思われるが、すぐに検査が受けられない
·暴力がある
·バルーンカテーテルの対応が必要
·急ぎで入居したい
·Bさんの入院費や退院後の生活を考えるとなるべくなら費用をおさえたい
ポイントをこの5つに絞ってホーム選定にあたります。
そして、
·認知症の診断が無くても入居でき、精神科の往診があってホーム内で適切な診療を受けることが可能
·認知症の対応に強く、暴力行為があっても入居できる
·バルーンカテーテルの対応が可能
·体験入居を利用して急ぎの入居が可能
·自宅から少し離れた郊外にはなってしまうが予算内の費用
という、ご希望通りのホームをご紹介することができました。
ご相談からご入居まで、通常、1ヶ月ほどかかります。
今回は、なるべく早くご入居していただけるよう、ホームとも連携し、ご自宅に訪問面談させていただいてから、ホーム見学を経て、ご入居まで8日という、スピード入居が叶いました。
文:みんかい事業部 室長 近藤真奈美
次回:ケース2「親孝行の娘 母の入居を後悔する日々」