終活のすすめ
終活とは
終活とは、「人生の終わりに向けた活動」を略した言葉です。
自身が亡くなったときの葬儀やお墓の準備をはじめ、遺産相続の対策、身の回りの整理などを行うことを意味しています。
終活という言葉はいまから約10年ほど前に広まり始め、今では、終活は「人生の終わりについて考えることで、今をよりよく生きるための活動」とも位置付けられています。
人生を振り返り、準備することで、更に前向きな人生を歩んでいけると考えています。
かつては、終活で考える介護や葬儀、遺産相続などは親族や地域ぐるみで行われ、遺産は長男がいれば長男がすべて相続する家督相続だったと思います。
その後、相続は相続人全員で分け合う均分相続に変わりましたが、家督相続の考え方も根強く残っていました。
そのため、自身で介護や死後のことを決めたり希望を伝えたりする必要はあまりありませんでした。
しかし、いまでは核家族化や近所づきあいの希薄化、単身世帯の増加などで、介護や葬儀のあり方は変わりました。相続でも、それぞれの相続人が自分の権利を主張する傾向が強くなっているようです。
介護や葬儀、相続のあり方が変わったことで、自身または残された人が決めなければならないことが多くなり、死後のことで家族に迷惑をかけたくないという思いも、終活の広まりを後押ししているのだと考えています。
終活にとりかかるためには、終活をすることのメリットを知るより、終活をしなければ家族にどういった困ったことが起こるかをイメージする方が考えやすく良いのかもしれません。
もし終活をしないままで重度の介護状態や最悪亡くなった場合は・・・。
➀預金通帳のありかがわからない
②預金通帳は見つかったが解約に手間がかかった
③遺品整理で大切なものを捨ててしまった
④遺産相続でもめた
また、重い病気やケガで意思表示ができない状態になったときも、次のような問題が家族に重くのしかかります。
➀保険に入っているかどうかわからない
②延命処置をするかどうかの判断を迫られた
こういった家族の負担を軽減するためにも、ぜひ終活に取り組んでおくことをおすすめします。
終活を始めた人の多くは、身近な人が亡くなったり、自身が介護状態や病気になったりしたことがきっかけになることが多いようです。
まず、終活といえば、葬儀やお墓の手配などに注目が集まりがちですが、認知症になった場合を想定したり、財産の整理や一覧表作成といった生前整理も終活の一部と位置づけられています。
なお、タイミングによっては自身の死後のことや終末期医療、介護状態について考えることがストレスになる場合もあります。
心身の状態がすぐれないときは、あせらず終活は控えるようにしても良いと思います。
なお、終活を手際よく進めるためには、市販のエンディングノート(終活ノート)を使うとスムーズに考えがまとまるかもしれません。
エンディングノートは、家族や関係者に伝えておきたいことが漏れなく書き込めるようになっています。
エンディングノートは全て書き込む必要は無く、書けるところから書いていくことをお勧めします。
エンディングノートに必要事項を書き込むことで、やるべきことや考えるべきことが浮かんでくると思います。
簡単にできる終活ポイント/ステップ1
ひとりでもできるものを列挙してみました。まずはこれらのものの整理から始めてみてはいかがでしょうか。
自身の身の回りのものを整理する
整理というと、「断捨離」という言葉から連想されるように物を捨てていくイメージがありますが、捨てることだけにこだわる必要はありません。
まずは、自身がどれだけの物を持っているかを確認してみましょう。
いわば、身の回りの「もの」の棚卸しだと思ってください。
その上で身の回りのものを、「いるもの」と「いらないもの」に分類し、いらないものは捨ててもよいと思いますが、捨てることに抵抗があればひとまず置いておいても構わないと思います。
お金に関係するものを整理する
預金や保険などお金に関係するものは、日々の生活の中で整理できないまま数が増えてしまいがちです。
預金口座やクレジットカードで使っていないものがあれば、解約手続きをしましょう。
預金口座の解約は近くの店舗で手続きをしますが、電話やインターネットで手続きができる場合もあります。クレジットカードも電話で解約できる場合があります。
重要書類をまとめて保管
万が一のときや病気になった場合に備えて、保険証券や年金手帳、自宅の権利証(登記識別情報)などの重要書類は一か所にまとめておくようにすると良いでしょう。
盗難等が心配で分けておきたい場合は、家族に保管場所を伝えておくと良いでしょう。
毎月引き落としがあるものの一覧表作成
光熱費、通信費、カードの代金や諸会費など、毎月あるいは毎年引き落とされるものがあれば、それらの一覧表も作っておくと良いでしょう。
亡くなったときに遺族が解約手続きをしやすいだけでなく、知らない間に口座から引き落とされるとか、別途請求される恐れもあります。
財産目録の作成
お金に関係するものが一通り整理できたら、「財産目録」の作成をおすすめします。
但し、財産目録をパソコンで入力して作った場合は、必ず印刷しておくようにしましょう。
パソコンがパスワードで保護されていた場合、家族は見ることができません。
次回は<ステップ2>として『家族との話し合いが必要な終活』についてお話しします。
総務部 内藤克己
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