みんかい | 民間介護施設紹介センター

有料老人ホームのパンフレットの読み方

パンフレットを読む高齢者夫婦


「いろんな人から有料老人ホームの費用ってパンフレットに書かれている料金の倍くらい請求されるって聞くのだけれど・・」
今も昔もご相談に来られる方々からよくお聞きします。

お話をお聞きすると、その方の知人は見学した時にちゃんとパンフレットをもらって説明を受けたのに、そのとき聞いた金額とかけ離れた請求が毎月届く・・というのです。

老人ホームの「あるある話」?都市伝説?はたまた詐欺?
いったい何がおこっているのでしょうか・・。
まずはパンフレットの見方をおさらいしてみましょう。

有料老人ホームのパンフレットは、各ホーム(運営会社)で試行錯誤がなされ、見栄えの良い写真をふんだんに掲載していたり涎が出そうなお食事の写真などを取り入れていたり、新築高級マンションの様な冊子になっていたりとさまざまですが、一つ重要なことが統一されています。

それは「介護付き有料老人ホーム(特定施設)」と「その他の介護施設や高齢者住宅」との区分けです。
「介護付き有料老人ホーム(特定施設)」の指定を受けたホームのパンフレットには『介護付き』という文言を入れられますが、そうでないものには『介護付き』や『ケア付き』とは記載が出来ません。

したがって、「この有料老人ホームは介護付き有料老人ホームなのか?それとも住宅型?サ高住?なのか・・」と迷ったら、まずは『介護付き』『ケア付き』という文言が記載されているか確認してみてください。

「基本料金」と「個別料金」

それはさておき、料金の見方に戻ります。
有料老人ホームの利用料金(月額のランニングコスト)は「基本料金」と「個別料金」の合算となります。
パンフレットに記載されている料金は、「基本料金」になります。
この「基本料金」とは大まかに言うと①家賃、②食費、③管理費(共益費)で成り立っています。

※サービス付き高齢者向け住宅などの場合はこの3点の他に「サービス費」や「状況把握および生活相談費用」などが「基本料金」に組み込まれていることがあります。

老人ホームの基本料金と個別料金

この金額は、ご入居されたすべての人に必ず支払ってもらう費用に該当します。
その人がそこで生活するうえで最低限必要な金額、それが「基本料金」ということです。

その「基本料金」に加えて必要になるのが「個別料金」です。
「個別料金」とは、入居される『その方その方』にとって費用が変わるものです。
有料老人ホームは「介護を提供する/介護を受けるホーム」です。介護の状況はおひとりおひとり違います。

介護度(自立、要支援①~要介護⑤まで)や既往歴(それに対する医療行為)、オムツの使用頻度(パットやリハビリパンツ、紙おむつなど)、居室内の電気代や水道、ガスといった水光熱費、日用消耗品(トイレットペーパーやティッシュペーパー、歯磨き粉やシャンプー、石鹸など)、そのほかに新聞を定期購読されている方は新聞代、BSなどの娯楽番組を個別で契約している方、携帯電話や固定電話代などが挙げられます。

これらの中でも大きく他者と差が出るのが「介護度別の介護保険料」ではないでしょうか。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の場合、要介護②の方で月間/約20,000円の介護費用(1割負担の場合)がかかります。
※地域によって若干の違いがあります。

2割負担の方の場合ですと、約40,000円。3割負担の方になりますと約60,000円が月にかかる事になりますので、先に書いた「個別料金」はそのご利用者の年収によっても大きく違うことになります。

ただし、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の場合は、基本的に使った介護サービスの分だけ請求されますので、自身が使えるサービス分を超えない範囲であれば料金を抑えることが可能になります。

「個別料金」の請求のされ方に注目!

ここで介護施設の種類によって「個別料金」の請求のされ方が違うことを理解して下さい。
“食べ放題”のメニューがあるお店で例えると、「介護付き有料老人ホーム」は“食べ放題”になります。「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」は食べ放題ではなく“メニュー表から好きな物だけ食べる”スタイルとなります。

食べ放題と個別メニュー

いつ何時でも介護度に応じた一定額の料金(自身の介護度に合わせた負担限度額いっぱい)を支払うことで介護サービスを受けられる仕組みである「介護付き有料老人ホーム」に対して、受ける介護サービスの内容や時間によって料金が確定する「住宅型有料老人ホーム/サービス付き高齢者向け住宅」の仕組みの違いから、選択する介護施設の種類と自身の介護度、負担割合によって月額の「個別料金」に大きな差が生じるのです。

冒頭に書いたお話をされる方々のお話をお聞きしますと、この「個別料金」がどのようなもので、どの程度かかるのか・・をちゃんと認識していなかったケースが多く見られます。
当時は「どうしよう・・どうしよう・・」と親の受け入れ先ホームを探すのが精いっぱいで慌てていたし、見学の時に数十分ほど説明を受けただけで理解なんてできるはずがない!とおっしゃられるのは仕方のないことです。

それだけではなく、ご入居された時期からの加齢やご病状の進行によっての変化も十分考えられます。当然、ご状態が変化すれば今まで使用していたオムツの量も増えてしまうことが考えられますし、往診医にかかる頻度も増えることが想像できます。

あまりに介護費用がかさむようなら、区分変更をしてみることも大事です。
その方の現在の介護度で提供できるサービス範囲と現実とでミスマッチを起こしていることが考えられます。

「受けている介護度」によるサービス限度を超えてしまうと、超えた分のサービス費は10割負担となってしまいますので、介護区分を変えて(介護度を上げて)サービス限度を広げることが得策となります。

お金のことは大事です。「打ち出の小槌」は誰も持っていません。ましてや一昔前の高金利バブル時代のように預金が勝手に増えるご時世でもありませんし、いまの年金だっていつまで受けられるのか心配な世の中です。

仕組みをまずはしっかり理解することが必要です。
そのために我々みんかいの相談員をご活用ください。


みんかい西日本事業部 渡辺大志