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デジタル革命始動!老人ホームは、IT活用でどこまで進化できるのか!?(前編)

 最近、時節柄、老人ホームのデジタル化が盛んです。多くの老人ホームで、アプリをはじめ、さまざまなIT技術を導入し、業務の軽減を図り、3K職場というイメージを払拭するべく、懸命な努力をしています。

 特に、デジタル化は老人ホームにとって、入居者の満足度を向上させ、現場職員の業務軽減を実現、結果、配置人員を減らすことを可能にし、運営コストの削減にも寄与できるという、まさにWIN(入居者)WIN(介護職員)WIN(運営会社)を実現することを可能にしています。

 ただし、今のところ、その多くは、机上の上での話になってしまいますが・・・。目指しているところは、間違っていないと思います。

 そこで今回は、首都圏で介護付き有料老人ホームを22ホーム展開しているアズパートナーズ社(ホーム名:アズハイム)を訪問し、「EGAO link」(※クリックすると外部ページへ移動します)の取り組みを取材しました。

 この取材を通して、老人ホームのデジタル革命についてレポートをしていきます。

 現在、多くの介護事業者は、デジタル化、IT化を積極的に推進することにより、3K(きつい、汚い、危険)と言われる職場イメージを払拭、介護業務をスマートでクールな仕事に変貌させ、良い人材の獲得を目指しています。

 ちなみに、介護事業における「サービスの質」とは、まさに「介護人材の質」を指します。制度ビジネスである介護保険事業者の場合、介護サービスそのもので自社のサービスを際立たせ、競合他社との差別化を図ることは論理的に無理があります。

 理由は、介護保険法という“基本ルール”があり、これを逸脱すれば、いくら良いサービスだったとしても違法になるからです。しかし、そのルールを運用している“人材の品質”であれば、他社との差別化は可能になります。

 多くの介護保険事業者は、競合他社との差別化を図り、競合他社より自社を優位にする為に、さらには、自社の優位性を長期間保持する為に、そのルールを執行する為に必要な優秀な人材を確保し、確保した優秀な人材をさらに磨き上げることで、「作業」である介護支援を、究極の「サービス」へ昇華させていくことを目指しています。

 そして、そのためには「デジタル化」「IT化」の積極的な活用で、良い人材を確保し、良い人材を養成し、さらには良い人材の定着に向けた取り組みが重要になっています。

 今回のレポートでは、アズパートナーズ社の「EGAO link」の取り組みを通して、質の高い介護人材の獲得、さらには、高いレベルで介護職員の質を安定させ、持続させていくことに挑戦している老人ホームの姿をレポートしていきます。

 まず初めに、「EGAO link」の概要についてです。話は、アズパートナーズ社の事業推進部門の責任者である山本さんから説明を聞きました。

アズパートナーズ社 山本取締役の写真
アズパートナーズ社の事業推進部門の責任者である山本さん

「EGAO link」とは何なのか?


 ケアスタッフ(介護職員)の業務負担を軽減させ、介護職員が本来やらなければならない仕事、つまり、介護職員でなければできない仕事に専念することで、ホーム入居者の満足度の向上を目指します。
 その為には、次の3つのことが、介護現場の課題であると整理し、そこに対しデジタル化で対抗することにしました。

① 介護記録の記入。
② 終日実施している定時巡視。
③ ナースコールへの対応。

 この3つの業務に対し“デジタル技術”を活用し、業務改善を図ります。

エガオリンクの仕組図
EGAO link 仕組図

「EGAO link」の構成内容は以下の通りです。


見守りセンサーは、パナマウントベッド社の「眠りSCAN」を採用!
 ベッド上における入居者の状態を4つの状態に区分して、スマートフォンの画面に表示させることができます。「寝ている」「横になっているが覚醒している」「端坐位で起きている」「離床している」の4つ。

 また、この4つの状態は、アラート設定も可能です。アラート設定は、自動的にその時間も記録する為、今までのようにケアスタッフが介護記録に記入する必要はありません。したがって、“記入漏れ”という現象が無くなります。また、定期的な“巡視”もしません。

 さらに、寝ている状態は、グラフにし、見えるようにできる為、それを医療機関や家族に情報提供することで“証拠のある介護支援”が可能になります。

 さらにさらに、呼吸状態も見える化できる為、画像を確認し肺炎状態に近いと判断した場合は、速やかに受診をすることで早期に治療に入ることができ、結果「入院治療」が減っていくことになります。

ナースコールは、アイホン社の「Vi-nurse」を採用!
 双方向の情報(ナースコールがった時間)を自動的に記憶します。また、他の商品と連携がしやすいのもこの商品の特徴です。

介護記録ソフトは、ケアコネクトジャパン社の「ケアカルテシステム」を採用!
 入力に対し多用するキーワードを検証し、なるべくタップして選べる入力システムを採用しました。介護記録を紙に記入する必要がなくなり、入力はスマートフォンで、「いつでも」「どこでも」入力が可能になります。
 さらに、写真も撮って個人別に自動的に保存することができるため、褥瘡の状態確認、治療手順の確認なども画像をケアスタッフなどで共有することができます。

④この3つのシステムを連携(Wi-Fi環境含む)させ、スマートフォンに飛ばすための装置として、住友電設社の「ゲートウエイ」システムを採用!病院などで広く採用されている同社のシステムは、高い信頼度があると判断しました。

 この4つのベンターが開発した商品を組み合わせ、アズパートナーズ社が運営実績による効果検証をした「仕組み」のことを「EGAO link」と呼びます。つまり、この4つのベンダー以外の開発商品の場合、いくら機能が似ていたとしても「EGAO link」とは呼びません。ここは注意をするところです。

 また、アズパートナーズ社には、3名の専門スタッフからなる「EGAO link導入サポートチーム」を組成しています。この3名の専従サポートチームが、導入前から導入後までの必要な期間、各ホームに訪問し、現場スタッフの支援をしています。

「EGAO link」導入の効果は如何。


① 介護記録の作成時間が短縮できました。今まで8時間かかっていた時間が、0.8時間に短縮できました。
② 定時巡視は、もちろん0時間に短縮できました。
③ ナースコールは、24時間あたり平均150回だったところ、平均50回に減少しました。

 結論としては、ケアスタッフの1日の総労働時間の8%相当の時間が削減でき、3名の常勤換算職員の削減ができたと言います。

 さらに、残業時間の削減、離職率の改善、新規採用にも好影響がでています。介護職員に優しいホームは、入居者にも家族にも、きっと優しいはずであるという評価を受けていることを実感していると山本さんは言っていました。

 なお、一番大切なことは、短縮できた時間でケアスタッフを減らすだけではなく、ケアスタッフが本来のやるべき仕事を取り戻し、入居者満足度を上げていくことです。削減できた時間の一部を使って、入居者と関わる時間を増やすことで、次のようなことができるようになったと言います。

 こまめなモニタリングができるようになり、提供しているサービスを常に最適化することができました。さらに、何よりも、根拠に基づく個別性の高いケアができるようになったことで、ケアスタッフにとっても、納得感があるサービスを入居者に対し、提供することができるようになったといいます。

 多くのケースでは、手段の目的化が目立ちます。つまり、デジタル化を導入することが目的、IT技術を導入すること自体が目的となり、それで満足しています。

 その理由は、導入して放置です。言い方を変えれば、導入した後のモニタリングとアセスメントがない為、手段が目的化し満足してしまう現象が出現します。

 がしかし、EGAO linkの場合、最終目的に向かって、明確に取り組む強い意思を感じます。理由は、やはり専門のサポートチームの存在だと思います。

レポート作成:小嶋勝利

(後編へ続く)

*「EGAO link」は、アズパートナーズの商標登録商品です。商品へのお問い合わせは、アズパートナーズ社へお願いします。