みんかい | 民間介護施設紹介センター

新型コロナウイルス(COVID-19)における現場感

会話をしている高齢者

現在、猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)により、世の中は大混乱に陥っています。

当然、高齢者を支える介護業界でも大きな問題となっており至る場所、至る状況において支障をきたしていることが伺えます。

我々がご紹介する「有料老人ホーム」でも例外ではなく、状況は毎日、猫の目のようにめまぐるしく変化していますが、その対応は各ホームの運営会社の考え方によって違いがあるようです。

「どのような対応をしているのか?」というのも今の時期にご入居を選択される方々の有料老人ホーム選びの指標になっているようです。
そこで少しまとめてみました。

新型コロナウイルス対策 老人ホームの傾向

【ご入居の制限】
・完全に新規の受け入れを停止しているところもあります(数は少ないようです)
・新規の受け入れを行っていますが、入居2週間ほど前から検温を行い、入居直前にはPCR検査を実施し陰性証明が必須のところもあります(大手企業が運営する有料老人ホームで多く見受けられます)
・特に制限なし

などが挙げられます。

【ご家族の面会】
・最少人数にて短時間での面会が可能(1組/約15~20分程度)~介護付き/住宅型/サービス付き高齢者向け住宅など「全種別」に共通
※ワクチン接種を2回行ったご家族様に限る
・ご家族様はエントランス(外側)迄。館内のエントランス(内側)ガラス越しにてご本人様と面会~全種別共通
・有料老人ホームが用意するタブレットにてオンライン面会(10~15分程度)~全種別共通
・完全に面会禁止~介護付き有料老人ホームに多く見られます
・外で会う分には制限なし。ただし、帰館後の検温と消毒(うがい/手洗い)の徹底~サービス付き高齢者向け住宅に多いようです。
など、ホームによって様々です。

【入居中のご対象者様の外出】
・行かなければならない病院への通院時のみ可能~介護付き有料老人ホームに多いようです
・完全禁止、若しくはできる限り自粛を促される~全種別共通
・特に制限はかかりませんが、帰館後の検温と消毒(うがい/手洗い)の徹底~サービス付き高齢者向け住宅に多く見られます。
・ご家族が迎えに来るなどにより、少人数での外出と人混みの多い場所に行かないことのルールを順守してもらえれば可能~サービス付き高齢者向け住宅で見られます。

体操する高齢者

【施設内でのレクリエーション】
・館内であっても人との交流を極力避けるため、今までのように毎日行わず、週/1~2回程度に圧縮~全種別共通
・いままでボランティアの方をお迎えして開催していたレクリエーションを中止している
・デイサービスやデイケアに行くことができなくなった~住宅型/サービス付き高齢者向け住宅に見られます。
・小規模/短時間ながら毎日何かしらのレクリエーションを考え実施してくれている~全種別共通
・極力お部屋で過ごしてもらっている~全種別共通ですが少数

というように幾つかのシチュエーションに分けて羅列してみましたが、制限が全くかかっていないホームを探すことのほうが難しいようです。

ご相談に来られるお客様のご要望は様々です。どのようなことをご希望されているのか?それがこのコロナ禍で対応が可能なお話であるのか否か・・各ホーム、各運営会社の考えと対応の仕方をしっかり把握することが必要になります。

ただ、【まん延防止等重点措置】の状態時、【緊急事態宣言】発令の際の対応など状況は猫の目のように目まぐるしく変化します。昨日まで面会可能だったのに、今日からは全面禁止!というようなことも想定しておかなければなりません。

「残りの時間を一緒に過ごしたい」とホーム入居を決意

家族団らん


ここで、先日ご相談をいただいたお客様のお話をさせていただきます。

有料老人ホーム入居希望のご対象者様は98歳の女性で、ご主人様は7年前に他界、そのあたりから物忘れや妄想症状が出始めたため自宅近くのグループホームにご入所されていました。

そのご対象者様には2人の娘様がいます。一人はご対象者様のご自宅からそれほど遠くない場所に住んでいますが、もう一人の娘様は車で2時間ほどかかる場所にお住まいです。

また他にキーパーソンとなる人としてご対象者様のご長男(他界)のお嫁様がいて、実娘2人のちょうど中間距離あたりにお住まいになっている・・という地理的な関係性です。

いままでご対象者様の近くに住む娘様が定期的にホームに行き様子を見ていたのですが、
今年の頭にホームの自室ベッドから落下し骨折してしまいました。ご高齢という事もあり手術はせず保存治療を選択していたところ、入院中に誤嚥性肺炎を発症されました。

肺炎は改善したものの食事の摂取量が極端に少なくなり医師からは『このまま老衰の可能性もあります』との診断を受けてしまいました。ご対象者様は以前より経管栄養を希望されておらず、『病院としてもなす術がない、退院してもらって在宅で最後の介護をすることも良いのではないでしょうか?』と言われたそうです。

また、最大の懸念は現在の病院ではコロナの影響で『完全面会禁止』の号令が敷かれており、このようなご状態であるにもかかわらずお母様(ご対象者様)と面会もできない状況だという事でした。

ご家族様の選択された結論は『いまの病院でお母さんと会うことができないままお別れしてしまうことは耐えられない。必ず後悔が残ると思う。だったら、無理は承知でどこかの有料老人ホームで手を握ってあげながら残りの時間を一緒に過ごしたい』というものでした。

そして、その有料老人ホームは実娘が住む場所から極力近いところで・・と、2人の中間地点である他界したご長男の嫁(義娘)が住むエリアでのご希望でした。

とはいっても、ご予算の問題もあります。限られたエリアでご予算に合った有料老人ホームで、しかもこのようなご事情に理解を示してくれるところはあるのだろうか・・・と思いながらも十数か所ある有料老人ホームに片っ端から連絡を取りご事情を説明してゆくことでしか私どもが役に立てることはありません。

そしてその中で『事情はよくわかりました。でも、入居してすぐにご状態が変化して最悪の結果になってしまうかもしれません。また、その病院からうちの施設まで介護タクシーで来てもらっても1時間ほどかかります。その車中で・・・ということも想像しなければなりません。そのことをご家族様にご理解をいただけるのであれば、やれることをやりましょう!』と言っていただけました。

その話をご家族様に説明したところ覚悟をもって大変お喜びになられたように感じました。
また、病院にも事情を説明しアセスメント(ご対象者面談)もできない環境ながら担当医や看護師と打ち合わせを重ねてもらい、有料老人ホームへお引越しする段取りを数日で整え、無事にご入居することができました。

これらも全てコロナ禍での弊害、それによる新しい対応の仕方だと認識しています。
こんな状況でなければもっとほかの対応の仕方があった事でしょう。

でも、このような状況の中でご家族様の要望に理解を示して実行してくれた介護施設があり、難しい判断の中、できる限りの対応をしてくれた病院のスタッフがいてくださったことが何よりでした。

これが『昨年のコロナ禍』だったらどうなのか?『緊急事態宣言下』だったらどうだったのか?いろいろ考えさせられますが、どのような状況下でも有料老人ホームの対応は変化し運営されてゆきます。

どのような状況でも一人(ご家族だけ)で考え込まず、まずはいろいろな方面にご相談をいただけますことを切に願います。

みんかい 渡辺大志