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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その4)

タイトル 有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書その4

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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その2)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その3)

8. 入居対象者の要介護度について(つづき)

表9 入居対象者の介護度
表9(再掲)
グラフ2 対象者世帯の形態と介護度構成比
グラフ2(再掲)

 特筆する点としては、アンケート結果によると、申請中入居対象者が6%、30人存在しているところです。申請中区分の多くのケースでは、自立状態で病気や怪我で入院加療、医療機関のアドバイスにより要介護申請をすることが妥当になった高齢者を指します。もし、病気や怪我がなければ、しばらくは自立の状態が続いた高齢者であることも推察できます。前項で論じた直前の住宅事情が「入院」が多かったという結果が、全てを物語っているように思えてなりません。

 したがって、この数値から理解しなければならないことは、高齢者の場合、たとえ今、元気であっても、想定外の病気や怪我によっては、在宅生活の道が絶たれ、老人ホームへの入居ニーズが出現してしまうという点です。常日頃からの健康管理、体調管理、生活管理が重要であるということがわかります。

 介護度が「自立」の入居対象者も23人存在しています。これは、別途、解説する相談者レポートで解説を加えます。ちなみに、表にはありませんが、本人相談は5人です。それ以外は、子供を含む第3者からの相談になります。 推測になりますが、将来の介護不安を感じた家族、親族などが本人のホーム入居を検討しているということがわかります。

 対象者世帯の形態と介護度構成比について少しだけ触れておきます。老々世帯では、自立状態である場合は、ホームへの入居を検討するケースはありません。これは、夫婦2人で力を合わせて生きていこう、という意思の現れだと推察します。

 逆に、独居の場合は17名もの方が、たとえ自立状態であったとしても入居を検討しているケースが存在しています。また、独居世帯では、要介護1の入居対象者が一番多く、これに要介護2が続きます。したがって、独居世帯では、要支援から要介護になった時点で老人ホーム入居動機が出現するのではないでしょうか?

 家族と同居では、要介護2の高齢者が一番多いという結果が出ています。これは、認知症の悪化で問題行動が出現し、同居が難しくなってきたからでは?ということだと推察できます。

 さらに、要介護4、要介護5でも、独居で在宅生活を継続している高齢者がいることがわかります。当然、在宅介護サービスの進化により、一定の条件内であれば、重度な要介護高齢者でも、在宅生活ができるということの現れではないかと推察します。

介護の本質は「お金の話」です。年金と預貯金額のアンケート結果でも、親子や親族単位でお金の話を共有できていないケースが多いということがわかりました。

9. 入居対象者の年金額について

表10 入居対象者の年間年金金額

 予想通り、一番多い回答は「不明」「無回答」です。全体の37%を占めます。これは、お金のことなので「回答したくない」という意味や相談者である子世代が、親の年金額を正しく知らない、知らされていない、という2つの要素から「不明」「無回答」があると推察できます。さらに、人の心理を考えた場合、年金受給額が少ないケースでは、「回答したくない」という考えに心が働くこともあるのではないでしょうか?

 年金受給額は、年間100万円から250万円がボリュームゾーンです。無職、自営業者から会社員、公務員など、前職と比較すると、この結果は頷けるものだと思います。100万円未満が17%、100万円から200万円が22%、200万円から300万円が18%で、全体の57%を占めています。また、300万円以上の年金受給者も全体の6%程度存在しています。

10. 入居対象者の預貯金額について

表11 入居対象者の預貯金金額

 これも年金額と同じ理屈で、予想通り「不明」「無回答」が全体の58%で、半数以上です。さらに、預貯金額0円という対象者が全体の6%、31人もいます。逆に、預貯金額1,000万円以上の対象者も全体の17%、83人もいます。

 よく言われている貯蓄系のデーターでは、その多くがU字型の棒グラフになると言われていますが、やはり、全く貯蓄ができない人と、しっかりと貯蓄ができる人とに分かれているようです。

 年金のところでも触れましたが、お金の話では、親の経済事情の詳細を知らない子世代が多いということがわかります。これは気持ちとしては、よく理解することはできますが、高齢期の親のことが、親の置かれている経済事情によっては、子供にとってリスクになることもあるため、なるべく早いうちから、親子で親の将来における生活設計について話し合い、お金や資産については、なるべくオープンにしていくことが重要だということがわかります。

11. 入居対象者が現在利用している介護サービスについて

表12 入居対象者が現在利用しているサービス

 通所介護の利用が、訪問介護の利用に比べ6%程度多い結果になりました。訪問介護の方が、利用者が多いのでは?と考えていましたが、そうではなかったようです。これは、通所介護の利用動機の一つに、家族に対するレスパイトケアがありますが、やはり、同居している家族の場合、通所介護を自身のレスパイトケアに活用し、さらに、夜間帯、休日など、通所介護の営業時間外などに、介護サービスの必要性が増してきたタイミングで、老人ホームへの入居を検討したくなる家族が出現するのではないかと推察します。

 また、小規模多機能などのサービス利用が、アンケート結果では確認できませんでしたが、これは、訪問や通所などの介護サービスの中に含有しているのではないかと推察します。さらに、大都市圏では、小規模多機能は、地方と違いそれほど〝便利だ〞という傾向も強くないと感じています。その辺りのことが表れているのではないでしょうか。

 いづれにしても、今の介護保険サービスは、それに無頓着な人にとっては、複雑過ぎるようです。

 「利用なし」「なし」という対象者が32人いますが、このうち23人は「自立」の対象者です。さらに、申請中の対象者も含まれているのではないかと推察します。 また、全体の20%の人が「無回答」と回答しました。これは、相談者が入居対象者の日常生活を理解していない、つまり、知る由もない立場にあるか、または、関心がないのか、はたまた、介護サービス自体を理解できていないと言うことだと思います。

つまり、独居や老々世帯では、相談者が身近にいない為〝よくわからないから無回答〞という結果になったと考えます。また、相談者が配偶者や子世代ではなく、兄弟や姪、甥などの場合もよくわからないので〝無回答〞という結果になったのではないかと推察します。

 次回1月発行誌では、「相談者アンケート」の結果をレポートいたします。

以上です。お付き合い頂きありがとうございました。

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