スーパーバイザー奮闘日記その②
先月から、みんかいフランチャイズ事業の責任者である、内山が、各フランチャイズ企業の相談員との相談案件の確認、やり取り、教育指導の中で、さまざまな相談事例や気づきを取り上げ、トピックスや有料老人ホームを選ぶポイントなどのコラムを書いていければと思います。今回は前回のご夫婦相談の相談事例の選び方の続きで、相談業務以外のトピックスがありましたので、その事例を中心に進めていきます。
【前回の相談の背景】
相談者は80歳代の奥様(ほぼ自立)、旦那様は90歳後半の要介護4の老老介護の夫婦のご相談になります。
A相談員のとても親しいケアマネジャーからの相談であり、ここ3ヶ月以内に、旦那様の認知症が急速に進行して、奥様が外出している際に、外出してしまい、迷子で警察に補導されたりするケースが頻繁におこったので、ケアマネを通して、A相談員に連絡が入り、ご自宅に、ケアマネジャー同席のもと、三者面談が行われました。
その相談の結果、住宅型の高齢者住宅の3階(ほぼ自立のフロア、お元気の方がお住まいのフロア)に奥様が入居して、2階のフロア(認知症の方を手厚く介護するフロア)に、旦那様が入居する事になりました。
【入居にあたっての課題①身元保証人の問題】
介護施設へ入居する時に、身元保証人(連帯保証人)が必要となってきます。
通常は息子さん、娘さんがなるケースが多いですが、今回のご夫婦様は、お子様がいなく、甥はいるのですが、かなり遠方にいるのと、今まであまりかかわりを持っていないので、こんな時に頼みにくいと奥様が悩まれておりました。
なぜ、高齢者住宅に入居の際、身元保証人が必要かと言いますと、ホームに入居中に、病気による終末期医療が必要の際に、延命治療をするかどうかの判断をする人が身元保証人であり、また、亡くなられた後の、葬儀、身元を引き受けする人が身元保証人なので、あらかじめ選任する必要があります。
財産管理をしている成年後見人の弁護士先生などは、財産管理をしたとしても、身元保証業務(延命処置の有無や、亡くなられた後の身元の引き受け及び業務)などまでは、後見人の先生の業務範囲外として行わない場合が多いので、場合によっては身元保証人が必要になる場合が多々あります。
高齢者施設によっては、後見人の弁護士先生、司法書士の先生がいるので、それでOKという施設もございますが、かなりの少数になります。
今回は、お子様がいなく、甥はいるのですが、関係性が薄く、甥には頼めないとの事なので、身元保証業務をおこなっている司法書士事務所のグループを紹介して、奥様の今後の認知症になった時の不安を解消するために、任意後見人契約と、有料老人ホームに入居するにあたっての、身元保証人契約、を提携しました。
任意後見人の契約する事で、認知症になったとしても、預金の管理や生活費の支払いなどの財産管理と病院への入院手続きを対応するなどの身上監護をご本人様の為に代行して行う事になります。
今回有料老人ホームに入居する話になって、身元保証人が必要と知り、相談者の奥様は慌てて情報収集をする事になりましたが、もっと早めから、万が一の事を考えて、事前に老後の事を考える、事前に情報を仕入れる事は大切かと思います。
この高齢者住宅に入居する際の身元保証人のケースは、お子様がいない場合が多いか思っておりましたが、最近では、お子様がいたとしても、身元保証人を専門の業者にお任せするケースが増えてきたことに驚かされました。気を付けないといけない事は、様々な身元保証会社があるので、しっかりとした身元保証会社を選ぶ必要があると思います。
その点、今回は、いくつかある身元保証会社の中でも、実績と司法書士法人のグループなので、安心かと思います。
身元保証会社を選ぶ際の、気を付けないといけないポイントは、信託口座により財産管理をおこなっているか、寄付金を期待しての運営方針になっていないか、第三者による目を光らせて運営しているかなどが確認ポイントになるか思います。
この方は、亡くなった後の死後事務委任契約もしっかり締結して、契約を結ばれました。
【入居にあたっての課題②不動産】
今回、ホーム入居にあたり、奥様がご心配されていた事は、今お住まいの戸建ての自宅の事でした。ご結婚されてから約60年後生活されてきておりかなり老朽化してきましたが、閑静な住宅街の1戸建て住宅で、お庭も広く相談員がケアマネジャー様と訪問面談にお伺いした際は、お庭の手入れもしっかりされておりました。今回、在宅介護が困難になりはじめてから、不動産については、近隣の不動産会社に相談はされていたみたいなのですが、不動産会社の営業マンからは、売った方が良いとの一点張りで、なかなか心の決断がつかず、今に到るようでした。奥様の心情としては、不動産の売却よりも、まずは旦那様のホーム入居の事が心配で、その事が落ち着かないと、不動産の事まで頭がまわらないとの事でした。
今回は、奥様の心情を第一に考え、まずは旦那様と奥様の今後の安心できるお住まい(有料老人ホーム)を探し、そのホームでしばらく入居して、安心できるホームと確信出来たら、その時でも、売却は遅くわないという、今すぐ売らない選択肢が、奥様のお気持ちを楽にして、なおかつ、しばらくは空き屋管理サービスを利用しながら、売却の時期を見極めるとういう事になり、空き屋管理サービスを利用しながら、売却を前提で話は進む事になりました。大切なご自宅をホーム入居時に売却するケースとしては、資金つくりの為に売却するケースや、不動産を担保にお金を借りるケース、売却しないで、賃貸として貸し出すケースなどありますが、最終的には、数か月空き家管理サービスを利用しながら、売却の方向で話が進みました。お子様がいらっしゃる場合などは、生前相続などされる事も多々あります。さらに入居する住宅型は、医療行為もしっかりできる運営母体で、何人も看取り(ターミナルケア)の経験もあり、認知症が重度になっても、介護力で対応しますという有料老人ホームなので、その点も奥様が有料老人ホームから旦那様が重度になっても退去させられる事のリスクが少ない(不動産を売却してしまうと、退去せざるをえない状況の時にもどる家が無いというのが、売りたくないという一番の心理)事をご納得されて、安心されたみたいでした。
今回、相談員とこのご夫婦様の入居相談を通して、身元保証人の件、任意後見人の件、不動産の売却など、さまざまな相談事例を経験し、今お客様がおかれた状況をしっかり把握し、最善の方法をご提案しないといけない事を痛感させられました。
法人事業部 内山寿幸
古い記事へ 新しい記事へ