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改めて伝えたい!有料老人ホーム紹介センターの利用は目的達成のための手段
改めて伝えたい!有料老人ホーム紹介センターの利用は目的達成のための手段
ご本人から「私、老人ホーム入ろうかしら」そう言われた時あなたはどのようにして老人ホームをお探しになられますか。
介護保険制度を利用すれば、自宅での介護を継続していくことは可能です。しかし、常に見守りが必要な方や、夜間トイレ介助が頻回である方など、身体状況によっては家族の協力が必要になってくる状況もあります。
そうなると家族の事情が絡み合い、家庭や仕事に追われている家族は支援を続けることに限界を感じ、施設入居の選択をせざる得なくなります。
老人ホームの探し方
一般的な探し方としては
①身近なケアマネに相談する方法
②地域包括支援センターへ相談をする方法
③病院のソーシャルワーカーに相談する方法
④友人や知人からの口コミや紹介
そして…
⑤弊社のような老人ホーム紹介センターを利用
このような方法が挙げられます。
今までの老人ホーム紹介センター
最近までは、主に事業所の方々から「施設を探している方がいる」という相談を受け、利用者家族の様々な要望になるべく沿い、幅広い視点からその方々に合う施設の紹介を行うことが主な事業でした。
しかしここ最近ではインターネットの普及により、みんかいのお客様でもインターネットで事前に検索をして調べてきたというお客様が多くなってきました。
それもそのはず、自分たちの希望の金額や場所などある程度の条件を入れると簡単に施設の情報を調べることができる便利なサイトを運営している会社が増えてきているのです。
有料老人ホームの情報は紹介センターにお任せを
自宅で介護を受ける際に支援していただく「ケアマネ」は在宅介護のプロです。介護保険を組み合わせ在宅介護での生活を継続・維持させることが生業である職業のため、家で最後までいることは介護保険を活用しながら生活すれば、不可能ではありません。
しかし、家族や本人のお金の事情や環境、家族関係の事情が重なり家族から在宅介護が厳しいという話が上がってきて初めて、施設入居も視野に情報提供をしなくてはいけません。
しかしケアマネの業務は在宅支援だけでもやることが多く、オーバーワークのため、施設探しの手伝いまではなかなか手が回らないことが容易に想像できます。
中には責任感からケアマネ自身が独自で調べ、施設の紹介をしている方もいると聞きますが、大半のケアマネは、地域の公的施設のことは知っていても、有料老人ホームについては情報の幅が広いため詳しくないケアマネが多いです。
そのため専門である有料老人ホーム紹介センターを複数社紹介することは珍しくはありません。
紹介センター自体にも種類がある!
老人ホーム紹介センターは施設の紹介を専門としているので、当たり前ですが多数施設の特徴や空室情報など豊富に所有しています。相談料金はタダ0円であり、利用して損はないと断言できます。
老人ホーム紹介センター自体にも種類があるとなると、スタートラインである紹介センター選びから行き詰まってしまい、困る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
老人ホーム紹介センターの代表的な2種類、“インターネット検索式”と昔ながらの“面談・対面式を採用している会社”の違いを理解していただき、ご自身に合った負担のかからない方法を利用していきましょう。
2種類の老人ホーム紹介センターのメリットデメリットをまとめました。
【対面式老人ホーム紹介センター(お客様に直接会って話を伺う)】
○メリット
・日々変動のある施設の空室状況をリアルタイムで伝えることが可能
・専門家に会って意見交換することで、考えの整理ができる
・老人ホームの紹介だけでなく、老人ホームの見学同行や引っ越しに伴う必要業者の紹介も可能
・相談員の経験の中で独自の観点からミスマッチが起こらないように本人に合わせた柔軟な紹介が可能
×デメリット
・紹介手数料から利益を出しているため、提携している施設の中での紹介となる
・特定の地域でしか紹介ができない地域密着型の老人ホーム紹介センターもある
・相談員との相性が重要になってくるため、気の合う相談員と出会えるかどうかが肝になる
【インターネット検索式老人ホーム紹介センター】
○メリット
・時間を気にせず仕事の合間などで施設探しが気軽にできる
・希望する条件が決まっていれば、情報をたくさん入手できる
・パンフレットなどの資料請求や見学予約に手間がかからない
×デメリット
・情報量が多い上にその中から本人に合った施設を探さなければならない
・見学同行などはないため特に初心者はどう比較し判断したらいいか相談できない
・施設情報が更新されていない場合がある
・資料を取り寄せた施設から広告が毎月くるようになった
老人ホーム紹介センター選びから、施設選びは始まっている
知りたいことは全てインターネットで気軽に調べることができる世の中ではありますが、現在のインターネットは、まだまだ決まった方程式のなかでしか答えを導くことはできません。
例えば答えを知りたくても、関連するキーワードがわかっていなければ答えを導くにはかなり時間がかかってしまいます。介護または施設選びに関する悩みは、キーワードで簡単には調べられない問題が生じることがあります。
このように痒いところに手が届かない状態にいる方々にはぜひ、相談実績のある相談員がいる対面式の老人ホーム紹介センターを活用いただきたいと思います。
一番のポイントは情報量
インターネットで検索は気軽に多くの情報を入手することができますが、反対に対面式では人間が対応するので情報量の差は歴然です。しかし、単に情報を多く知っても、最適な施設を選ぶには、選ぶための知識が必要になります。相談者の立場や考え方によってどちらか選択されると良いでしょう。
例えば、出せる予算が決まっていて「とにかく金額を重視して施設選びをする」という方は、インターネットが便利です。しかし、施設のサービス内容などを重視されるのであれば、本人がどんな人物なのかなど細かくヒアリングする対面式の老人ホーム紹介センターを利用していただくことをお勧めします。
意外と似たような悩みを持っている方は多くいるということを知ることができ、解決策の情報収集もでき、第三者に話をすることでスッキリ考えがまとまることもあると思います。
いろんな施設の探し方をしても、最終決定は結局のところ本人や家族が行います。
入居した後に情報不足のために「こんなはずではなかった」という事態が発生しないことが一番大事なポイントです。
施設入居は終わりではなくそこから生活がスタートします。
本人や家族が納得のできる人生後半の大きな決断の一つにしていただきたいと願うばかりです。
みんかい 加藤 春奈
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その4)
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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
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8. 入居対象者の要介護度について(つづき)
特筆する点としては、アンケート結果によると、申請中入居対象者が6%、30人存在しているところです。申請中区分の多くのケースでは、自立状態で病気や怪我で入院加療、医療機関のアドバイスにより要介護申請をすることが妥当になった高齢者を指します。もし、病気や怪我がなければ、しばらくは自立の状態が続いた高齢者であることも推察できます。前項で論じた直前の住宅事情が「入院」が多かったという結果が、全てを物語っているように思えてなりません。
したがって、この数値から理解しなければならないことは、高齢者の場合、たとえ今、元気であっても、想定外の病気や怪我によっては、在宅生活の道が絶たれ、老人ホームへの入居ニーズが出現してしまうという点です。常日頃からの健康管理、体調管理、生活管理が重要であるということがわかります。
介護度が「自立」の入居対象者も23人存在しています。これは、別途、解説する相談者レポートで解説を加えます。ちなみに、表にはありませんが、本人相談は5人です。それ以外は、子供を含む第3者からの相談になります。 推測になりますが、将来の介護不安を感じた家族、親族などが本人のホーム入居を検討しているということがわかります。
対象者世帯の形態と介護度構成比について少しだけ触れておきます。老々世帯では、自立状態である場合は、ホームへの入居を検討するケースはありません。これは、夫婦2人で力を合わせて生きていこう、という意思の現れだと推察します。
逆に、独居の場合は17名もの方が、たとえ自立状態であったとしても入居を検討しているケースが存在しています。また、独居世帯では、要介護1の入居対象者が一番多く、これに要介護2が続きます。したがって、独居世帯では、要支援から要介護になった時点で老人ホーム入居動機が出現するのではないでしょうか?
家族と同居では、要介護2の高齢者が一番多いという結果が出ています。これは、認知症の悪化で問題行動が出現し、同居が難しくなってきたからでは?ということだと推察できます。
さらに、要介護4、要介護5でも、独居で在宅生活を継続している高齢者がいることがわかります。当然、在宅介護サービスの進化により、一定の条件内であれば、重度な要介護高齢者でも、在宅生活ができるということの現れではないかと推察します。
介護の本質は「お金の話」です。年金と預貯金額のアンケート結果でも、親子や親族単位でお金の話を共有できていないケースが多いということがわかりました。
9. 入居対象者の年金額について
予想通り、一番多い回答は「不明」「無回答」です。全体の37%を占めます。これは、お金のことなので「回答したくない」という意味や相談者である子世代が、親の年金額を正しく知らない、知らされていない、という2つの要素から「不明」「無回答」があると推察できます。さらに、人の心理を考えた場合、年金受給額が少ないケースでは、「回答したくない」という考えに心が働くこともあるのではないでしょうか?
年金受給額は、年間100万円から250万円がボリュームゾーンです。無職、自営業者から会社員、公務員など、前職と比較すると、この結果は頷けるものだと思います。100万円未満が17%、100万円から200万円が22%、200万円から300万円が18%で、全体の57%を占めています。また、300万円以上の年金受給者も全体の6%程度存在しています。
10. 入居対象者の預貯金額について
これも年金額と同じ理屈で、予想通り「不明」「無回答」が全体の58%で、半数以上です。さらに、預貯金額0円という対象者が全体の6%、31人もいます。逆に、預貯金額1,000万円以上の対象者も全体の17%、83人もいます。
よく言われている貯蓄系のデーターでは、その多くがU字型の棒グラフになると言われていますが、やはり、全く貯蓄ができない人と、しっかりと貯蓄ができる人とに分かれているようです。
年金のところでも触れましたが、お金の話では、親の経済事情の詳細を知らない子世代が多いということがわかります。これは気持ちとしては、よく理解することはできますが、高齢期の親のことが、親の置かれている経済事情によっては、子供にとってリスクになることもあるため、なるべく早いうちから、親子で親の将来における生活設計について話し合い、お金や資産については、なるべくオープンにしていくことが重要だということがわかります。
11. 入居対象者が現在利用している介護サービスについて
通所介護の利用が、訪問介護の利用に比べ6%程度多い結果になりました。訪問介護の方が、利用者が多いのでは?と考えていましたが、そうではなかったようです。これは、通所介護の利用動機の一つに、家族に対するレスパイトケアがありますが、やはり、同居している家族の場合、通所介護を自身のレスパイトケアに活用し、さらに、夜間帯、休日など、通所介護の営業時間外などに、介護サービスの必要性が増してきたタイミングで、老人ホームへの入居を検討したくなる家族が出現するのではないかと推察します。
また、小規模多機能などのサービス利用が、アンケート結果では確認できませんでしたが、これは、訪問や通所などの介護サービスの中に含有しているのではないかと推察します。さらに、大都市圏では、小規模多機能は、地方と違いそれほど〝便利だ〞という傾向も強くないと感じています。その辺りのことが表れているのではないでしょうか。
いづれにしても、今の介護保険サービスは、それに無頓着な人にとっては、複雑過ぎるようです。
「利用なし」「なし」という対象者が32人いますが、このうち23人は「自立」の対象者です。さらに、申請中の対象者も含まれているのではないかと推察します。 また、全体の20%の人が「無回答」と回答しました。これは、相談者が入居対象者の日常生活を理解していない、つまり、知る由もない立場にあるか、または、関心がないのか、はたまた、介護サービス自体を理解できていないと言うことだと思います。
つまり、独居や老々世帯では、相談者が身近にいない為〝よくわからないから無回答〞という結果になったと考えます。また、相談者が配偶者や子世代ではなく、兄弟や姪、甥などの場合もよくわからないので〝無回答〞という結果になったのではないかと推察します。
次回1月発行誌では、「相談者アンケート」の結果をレポートいたします。
以上です。お付き合い頂きありがとうございました。
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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
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親の引き寄せ現象と海外からの帰国案件の存在
さらに、入居対象者が地方に居住しているケースが25件ありました。これは、首都圏に住んでいる子世代が、地方に住んでいる親を自分の近くに「引き寄せ」、自宅近くの老人ホームに入居させるという行動の表れだと推察することができます。比較的元気な親との同居は「NO」ですが、いざという時に、すぐに駆け付けることができる距離に親を置いておきたいという子世代の考えによるところだと思います。
うち、入居対象者が海外にいるケースも1件ありました。これは、若い頃、海外移住をした人が、高
齢者になって祖国に帰国したいというニーズだと推察できます。特に、米国西海岸から東海岸に至る
地域には、移住し永住権を持つ日本人が多いと聞きますが、この中には、高齢期に伴侶とも死に別れ、
やはり「最後は祖国で」と言う気持ちになる方がいることの現れではないかと考えます。
したがって、首都圏に多くの子世代が住んでいる間は、地方の親の「引き寄せ」による首都圏への高
齢者の流入が、続くのではないでしょうか。
今後、ますます、首都圏の高齢化が進むのではないかと危惧するところです。2025年、地域包括ケアシステムが始動します。その時、このような「引き寄せ」現象がどうなっていくのか、大変興味のあるところです。
6. 入居対象者の住宅事情について
持家率は、戸建て、マンションを合わせると、70%を超えています。つまり、ある程度、資産がないと有料老人ホームへ入居をしようとは考えない、ということだと推察します。しかしながら、国税調査(2005年)による高齢者(65歳以上)の持家率は86%を超えている為、アンケート数値だけ見た場合、必ずしも老人ホーム入居対象者の持家率は高い、とは言えません。
特筆することは、「介護施設」として分類されている「サ高住」「老人ホーム」など高齢者用住宅に住んでいるケースでの相談が3%程度あることです。これは、身体の状態が変化し、既存の高齢者向け住宅では対応が難しくなったために発生している「転ホーム」の現象だと推察できます。
老人ホームは「終の住処」である、という表現を多くの方が好んで使いますが、本当に、老人ホームは、終の住処という言い方で良いのでしょうか?よく考えなくてはなりません。
今後、このようなケースも含め、多くの高齢者が私たちと同じように、自分の都合や事情、そしてライフスタイルに合わせて、何度でも高齢者住宅の引越しを繰り返す「転ホーム」をすることが当たり前になるような気がします。むしろ、転ホームが恒常化することで、高齢者住宅の質が向上し、本当の意味での高齢者の住まいが充実するように感じます。
7.入居対象者の直近生活状況について
独居と老々世帯で全体の53%になります。やはり、高齢期の老人ホーム入居の動機には、独居や老々世帯は、重要なキーワードになると考えられます。ただし、内閣府の2016年高齢者調査データーによると、老々世帯は全体の31%です。これに、独居が27%、家族との同居が21%、その他が21%となっています。内閣府の調査とアンケート結果とを比較した場合、アンケートの方が、独居世帯割合が12ポイント多く、逆に老々世帯の割合は、17ポイント程度低いということがわかります。
つまり、老人ホームへの入居動機は、老々世帯ではなく、独居になった時から強く起きるのでは?ということが推測できます。多くの場合、入居対象者が80歳以上であることから、また、入居対象者の過半数は女性であることから、寿命を迎え、夫を亡くした女性が、独居になり、さらに、何らかの事情で独居を維持することができなくなったことをきっかけに、老人ホームへの入居を、周囲(子世代)が検討するというストーリーを容易に想像することができます。
また、直近の住宅事情では、老人ホームへの本入居を決断する場合、その前工程として「ショートステイ施設」や「老健施設」などの介護施設を一時的に利用するケースがあることがわかります。その過程を経て、老人ホームへの入居を検討していくというプロセスが存在しています。
なお、病院に入院していたケースが45人います。高齢者が、何らかの疾患で、病院に入院した場合、自宅に帰らず、そのまま老人ホームへ直行してしまうケースも多いということがわかります。
8. 入居対象者の要介護度について
全体の43%は要介護1、2が占めています。要介護3まで広げると、全体の56%です。つまり、老人ホームへ入居を検討している入居対象者の要介護度は、思ったほど、高くはないということがわかります。また、要介護認定において、認知症は、身体が自立しているケースも多いため、要介護2程度でも問題行動が出現し周囲が困惑するというケースも珍しくありません。
本アンケート結果では、入居対象者の要介護度が、「自立」から「要介護3」までの方で70%以上を占めています。この結果からわかることは、老人ホームへの入居を検討する家族の心情は、単に対象者の身体状況(要介護状況)だけではなく、置かれている環境、立場や関係性なども加味して考えていかなければならないことだということがわかります。
さらに、特別養護老人ホームの入居条件が、現在、原則として「要介護3」以上となっている為、要介護1、2までの要介護高齢者は、特別養護老人ホームには入居することは、原則、できません。逆に、要介護3以上の場合、積極的に特別養護老人ホームが受け入れ活動をしているように感じます。
したがって、高齢者の場合、入居ニーズが出現した場合、ひとまず民間の有料老人ホームへの入居を検討し、その後、要介護度が進んだ場合、特別養護老人ホームへ転ホームするという現象が起きていると考えます。その意味でも、要介護1又は2の入居対象者が多いということだと考えます。
(つづく)
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有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
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3. 入居対象者の職業について
入居対象者の職業は、年齢、男女比率などを踏まえ、当時の時代背景を考えた場合、「専業主婦」「無職」「公務員」「パート」「看護師」「栄養士」「教師」「保険外交員」など、女性が従事する仕事、または、女性が比較的従事しやすかった仕事が並んでいます。もう少し細かくみてみましょう。「男女別職業一覧」を見るとよくわかります。
専業主婦(夫)が154人です。それに続き、会社員が113人になります。無職の74人は、専業
主婦だったという方と、今は無職という方とが入り混じっているように思えます。それに、自営業、公務員が続きます。意外と医師が少ないように感じます。多くの老人ホーム入居者には、元医師が一定数いるのですが・・・。
4. 入居対象者の既往歴について
501人アンケートで、有効回答数が902件ということなので、アンケートの性質上、1人の対象者が複数の疾患を抱えているということがわかります。また、病名を俯瞰的に見てみると、高齢者特有の疾患がずらっと並んでいることもわかります。
意外だったのは、全体の20%程度しか「認知症」既往歴のある人がいなかったと言う事実です。私は、50%程度は認知症ではないかと推察していました。なぜなら、肌感覚では、老人ホームへの入居動機は、認知症による問題行動の出現によるもの、というのが相場だと決まっているからです。したがって、少し意外なイメージを受けました。
ただし、認知症疾患の176人のうち、年齢80歳以上の認知症疾患は、145人であり、全認知症疾患の82%を占めます。つまり、認知症疾患は、多くの方の指摘の通り、高齢化が進めば進むほど深刻な問題になっていくと考えることができます。
また、疾病別に分類し直すと、循環器系の疾患が35%と最大で、次に認知症などの精神及び行動障害の20%と続きます。このアンケート結果から推察すると、高齢者は心筋梗塞や脳梗塞など循環器系の疾患から回復するも、その後遺症や回復状態の中で、ADLが低下、結果、在宅生活に障害が生まれ、老人ホーム入居を検討しなければならなくなると言う実態があるのではないかと考えます。
さらに、特記したいことは「失明」と「癌」の入居対象者の存在です。私の経験則から申し上げると、
1,000人に1人ぐらいの割で、全盲の高齢者が老人ホームに入居しているのではないかと推測するの
ですが、多くの老人ホームの場合、この全盲高齢者に対する介護支援が十分に行われているかどうかは、はなはだ疑問です。けして、多数派ではありませんが、身体障害、特に目や耳に障害を持つ高齢者に対する介護職員への指導や教育も、今後の老人ホーム運営の課題だと考えます。
さらに、「癌」を既往歴としている対象者も少ないように感じています。これは、その疾患の性質上、完治せず、そのまま死に至ってしまうケースが多い為なのではないかと考えます。ただし、老人ホームの女性入居者の中には、一定数、乳がんを克服した入居者もいる為、「癌」を克服した場合は、既往歴として報告をしないケースがあるのではないかとも考えています。
私の老人ホームの現場感覚で申し上げると、老人ホームの入居者の中には、あえて医療的な検査をせず、したがって「癌」か否かを不明確なまま、暮らしているケースも散見されます。したがって、高齢の場合、あえて「癌」かどうかを精査せず、放置していることも考えられる為、実際よりも数値が低く出ている可能性があります。
なお、今回はアンケート項目として設定はしていませんが、今後の入居対象者調査では、「LGBT」
などの項目も入れる必要があるのではないかと感じています。
最後に、「既往歴なし」の健康な対象者が6名いることを特記しておきたいと思います。
5. 入居対象者の居住地について
東京23区内にお住まいの対象者は39%、東京都下にお住いの対象者は8%、これに東京都という回答の2%を加えた東京都内在住の合計は49%になります。
神奈川県は、横浜市が10%、川崎市は3%、茅ヶ崎市を含む湘南地区は8%です。神奈川県合計は22%になります。東京都、神奈川県で全体の71%を占めています。埼玉県は9%、千葉県は12%です。
1都3県で全相談件数の92%に上ります。また、特筆すべきは、首都圏以外の相談が24件、さらに、海外居住の相談者が1名いるところです。
もう少し、地域性の詳細についてみていきます。詳細一覧は用意していませんが、アンケート結果では、東京都品川区、杉並区、大田区、世田谷区など、一般的に人気のある都内の住宅地や神奈川県横浜市、川崎市や湘南地域、埼玉県さいたま市、千葉県市川市、船橋市など、居住人口が多く、利便性の高い市区町村に住んでいる入居対象者が多いという結果が出ています。
興味深い現象は、東京都内に居住している対象者が圧倒的に多いにもかかわらず、渋谷区に居住している対象者は0人でした。さらに、港区、千代田区など超・都心部に居住している対象者も少数派です。
これは想像ですが、やはり、地価の高いエリアでは、相続税などの支払いが生じるため、長期間にわたり居住し続けることは難しく、徐々に郊外へ郊外へという流れになっているのではないかと思います。千代田区や港区から見れば、品川区、杉並区、世田谷区などは郊外であり、さらに、これらのエリアから見れば、横浜市や川崎市、湘南地区などは郊外であるということだと思います。
なお、千代田区や港区などは、有名企業などの経営者など、富裕層も多く居住している地域なので、要介護状態になっても、自宅を改修したり、介護看護職員を雇用するなどして、自宅で対応しているケースや病院で特別に対応しているケースも多いのではないかと推測します。
(つづく)
☆こちらもご覧ください☆
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
本アンケートは、主に老人ホーム紹介センター「みんかい」の首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)相談室に、入居相談に来られた相談者501名に対し、NPO法人楽生が実施した無記名式アンケート結果のレポートです。アンケート実施と個人情報管理はみんかいにて、レポート制作監修は、NPO法人楽生にて実施しました。
なお、NPO法人楽生は、みんかいの有志により、高齢者、特に要介護高齢者とその家族が、苦なく楽に生きていくための支援をすることを目的に設立したNPO法人です。
紹介センター「みんかい」に相談にこられる相談者の多くは、居宅介護支援事業所、病院、地域包括支援センター、行政などからみんかいの案内を受けられた相談者です。したがって、その多くは、要介護高齢者である親を抱える子世代、または配偶者、ということになります。
※レポートの数値については、小数点第1位を四捨五入して表示しています。
はじめに
平素は、老人ホーム紹介センター「みんかい」をご利用いただき、誠にありがとうございます。おかげさまで「みんかい」は、20年以上の長きにわたり、老人ホーム紹介センター事業をさせていただいております。まずは、この場をお借りして、相談者、及び日頃からみんかいを利用、活用していただいている関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は、みんかいに老人ホームの入居相談に来られたお客様に対し、期間限定で無記名式のアンケートを実施しました。アンケート総数は501名です。また、このような取り組みは、みんかいとしても初めての試みです。
以下に本アンケートの目的や実施動機について簡単に説明をさせていただきます。また、本取り組みが、好評であれば、定期的に実施していくことも検討いたします。
さらに、本アンケートにご興味のある関係者様からの問い合わせも歓迎いたします。ページの都合上、調査項目の一部の資料しか掲載できていません。また、別途、更なる詳細分析もしていく予定です。ご興味がある方(組織・法人)は、遠慮なく、お問い合わせください。
担当者:小嶋 勝利(こじま かつとし)
e-mail : k-kojima☆asfon.jp(メール送信時は☆を@に変えてください)
①介護保険3施設に対する入居相談情報は、多いと思いますが、有料老人ホームに対する入居相談に関する情報は、巷に少ないと感じています。
②日頃からお世話になっている経路先事業者様(みんかいでは、相談者をご紹介していただいている事業所のことをそう呼んでおります)に対し、なんらかの形で恩返しができないものかと考えました。そこで、ご紹介いただいた相談者の皆様の傾向や事情、現状という情報をフィードバックすることで、経路先事業者様の日頃の業務にお役に立てるのではないかと考えた次第です。
③みんかいにご相談者に来られる相談者にも、本レポートを提供させていただく予定です。ホーム探しにおける参考資料にしていただければと考えております。
④老人ホーム運営会社に対し、本レポートを提供させていただきます。今後の老人ホームの運営に役に立てていただければ幸いに存じます。
本レポートは、今回の「入居対象者分析レポート」及び次回の「相談者分析レポート」並びに「総括レポート」の3部作とし、〝元気かいみんかい定期版〞の新・俯瞰的にみてみよう!のコーナーで掲載していきます。
第1回目は「入居対象者分析レポート」です。無記名アンケートのデーターを中心に、有料老人ホームへ入居を希望している入居対象者像に対するレポートになります。なお、ここで言う「希望している」とは、対象者というよりも「相談者の希望」という場合が多いと考えております。
1. 入居対象者の年齢について
入居対象者の年齢は、80歳台、90歳台の高齢者が全体の約80%を占めています。したがって、老人ホームの入居者の多くも、80歳台、90歳台であることが推察できます。少し詳細を見ていきましょう。
80歳台の高齢者は、全体の53%、265人です。90歳台の高齢者は、全体の25%、124人です。 また、特筆すべきは、69歳以下の入居対象者も全体の4%、21人いることです。つまり、老人ホーム入居ニーズが、高齢によるADLの低下や認知症をはじめとする高齢者特有の症状の悪化だけではなく、比較的若年層であっても、脳疾患などによるADL低下や若年性認知症など高齢とは言えない年齢層に対し、適切な介護施設(介護を提供する機関)が存在しないことにより、仕方なく老人ホームへ入居せざるをえない現状があるのではないかと推察します。
障害を持つ若年層を受け入れる介護施設が少ないため、その多くが「老人ホーム」という介護施設に仕方なく入居しているというケースがあるのだと推察します。しかし、排泄や入浴介助において、同性介助の徹底など対象者の人権を第1に考えた介護支援は、今の老人ホームスキームでは、なかなか、難しいのが現状です。
本アンケート結果からも、このような高齢者とまでは言えない若年層障害者が、支援を受けることができる介護施設が、まだまだ十分ではないと考えます。
2.入居対象者の性別について
入居対象者の64%は女性です。しかし、有料老人ホームの場合、同じような運営形態である特別養護老人ホームなどと比較した場合、男性入居者比率は制度上、高くなると予測できます。理由は、有料老人ホームには、特別養護老人ホームに整備させている「人の属性(資産状況や所得状況など)による利用料金等の免減措置」が用意されていないからです。
つまり、有料老人ホームの場合、長年、専業主婦など、いわゆる無職、無収入であった高齢女性に対し、なんら入居しやすい環境下ではない為、どうしても、女性の多くは、入居しやすい特別養護老人ホームへ入居するという判断が、少なからず存在していると推察できます。
したがって、特別養護老人ホームの入居者男女比は、本アンケート結果よりも、約10%程度、女性比率が高くなっています。
(つづく)