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終活のすすめその1
終活のすすめ
終活とは
終活とは、「人生の終わりに向けた活動」を略した言葉です。
自身が亡くなったときの葬儀やお墓の準備をはじめ、遺産相続の対策、身の回りの整理などを行うことを意味しています。
終活という言葉はいまから約10年ほど前に広まり始め、今では、終活は「人生の終わりについて考えることで、今をよりよく生きるための活動」とも位置付けられています。
人生を振り返り、準備することで、更に前向きな人生を歩んでいけると考えています。
かつては、終活で考える介護や葬儀、遺産相続などは親族や地域ぐるみで行われ、遺産は長男がいれば長男がすべて相続する家督相続だったと思います。
その後、相続は相続人全員で分け合う均分相続に変わりましたが、家督相続の考え方も根強く残っていました。
そのため、自身で介護や死後のことを決めたり希望を伝えたりする必要はあまりありませんでした。
しかし、いまでは核家族化や近所づきあいの希薄化、単身世帯の増加などで、介護や葬儀のあり方は変わりました。相続でも、それぞれの相続人が自分の権利を主張する傾向が強くなっているようです。
介護や葬儀、相続のあり方が変わったことで、自身または残された人が決めなければならないことが多くなり、死後のことで家族に迷惑をかけたくないという思いも、終活の広まりを後押ししているのだと考えています。
終活にとりかかるためには、終活をすることのメリットを知るより、終活をしなければ家族にどういった困ったことが起こるかをイメージする方が考えやすく良いのかもしれません。
もし終活をしないままで重度の介護状態や最悪亡くなった場合は・・・。
➀預金通帳のありかがわからない
②預金通帳は見つかったが解約に手間がかかった
③遺品整理で大切なものを捨ててしまった
④遺産相続でもめた
また、重い病気やケガで意思表示ができない状態になったときも、次のような問題が家族に重くのしかかります。
➀保険に入っているかどうかわからない
②延命処置をするかどうかの判断を迫られた
こういった家族の負担を軽減するためにも、ぜひ終活に取り組んでおくことをおすすめします。
終活を始めた人の多くは、身近な人が亡くなったり、自身が介護状態や病気になったりしたことがきっかけになることが多いようです。
まず、終活といえば、葬儀やお墓の手配などに注目が集まりがちですが、認知症になった場合を想定したり、財産の整理や一覧表作成といった生前整理も終活の一部と位置づけられています。
なお、タイミングによっては自身の死後のことや終末期医療、介護状態について考えることがストレスになる場合もあります。
心身の状態がすぐれないときは、あせらず終活は控えるようにしても良いと思います。
なお、終活を手際よく進めるためには、市販のエンディングノート(終活ノート)を使うとスムーズに考えがまとまるかもしれません。
エンディングノートは、家族や関係者に伝えておきたいことが漏れなく書き込めるようになっています。
エンディングノートは全て書き込む必要は無く、書けるところから書いていくことをお勧めします。
エンディングノートに必要事項を書き込むことで、やるべきことや考えるべきことが浮かんでくると思います。
簡単にできる終活ポイント/ステップ1
ひとりでもできるものを列挙してみました。まずはこれらのものの整理から始めてみてはいかがでしょうか。
自身の身の回りのものを整理する
整理というと、「断捨離」という言葉から連想されるように物を捨てていくイメージがありますが、捨てることだけにこだわる必要はありません。
まずは、自身がどれだけの物を持っているかを確認してみましょう。
いわば、身の回りの「もの」の棚卸しだと思ってください。
その上で身の回りのものを、「いるもの」と「いらないもの」に分類し、いらないものは捨ててもよいと思いますが、捨てることに抵抗があればひとまず置いておいても構わないと思います。
お金に関係するものを整理する
預金や保険などお金に関係するものは、日々の生活の中で整理できないまま数が増えてしまいがちです。
預金口座やクレジットカードで使っていないものがあれば、解約手続きをしましょう。
預金口座の解約は近くの店舗で手続きをしますが、電話やインターネットで手続きができる場合もあります。クレジットカードも電話で解約できる場合があります。
重要書類をまとめて保管
万が一のときや病気になった場合に備えて、保険証券や年金手帳、自宅の権利証(登記識別情報)などの重要書類は一か所にまとめておくようにすると良いでしょう。
盗難等が心配で分けておきたい場合は、家族に保管場所を伝えておくと良いでしょう。
毎月引き落としがあるものの一覧表作成
光熱費、通信費、カードの代金や諸会費など、毎月あるいは毎年引き落とされるものがあれば、それらの一覧表も作っておくと良いでしょう。
亡くなったときに遺族が解約手続きをしやすいだけでなく、知らない間に口座から引き落とされるとか、別途請求される恐れもあります。
財産目録の作成
お金に関係するものが一通り整理できたら、「財産目録」の作成をおすすめします。
但し、財産目録をパソコンで入力して作った場合は、必ず印刷しておくようにしましょう。
パソコンがパスワードで保護されていた場合、家族は見ることができません。
次回は<ステップ2>として『家族との話し合いが必要な終活』についてお話しします。
総務部 内藤克己
元気なうちから老人ホームに入居することはアリかナシか?
元気なうちから老人ホームに入居することはアリかナシか?
- 毎日食事を作るのが面倒になってきました。
- 持病を抱えながら一人で生活する不安から解放されたいです。
- 息子や娘に負担をかけたくないのです。
年を重ね、これからの人生設計を考えた時に老人ホームへの入居をひとつの選択肢と考える方も多いかと思います。最近は、老人ホームに入居しながら仕事場に向かう方もいらっしゃるようです。
三度々々の食事が提供され、温泉のような大浴場が好きな時に入れて、スポーツジムが併設されていて、好きなカルチャークラブに参加して仲間を作る事が出来て、場合によっては掃除・洗濯もしてくれる環境が整っているホームもあるため、訳あっておひとり様になっている方にとっては一般的な住宅で暮らすより格段に便利であると考えられているようです。
とはいえ、上記にあるホームは料金も高く、ごく一部の高齢者が利用するような超高級老人ホームに該当します。
それほど至れり尽くせりの高額なホームではなく、温泉のような大浴場やスポーツジムは必要ない・・というお元気な高齢者の方々のために環境が整備されたホームも多くありますので、どうぞご安心ください。
老人ホームへの入居タイミングとは
みなさんは、老人ホームへの入居を「どのタイミング」で考えられますか?
多くの方は「介護が必要になった時」とお考えになることでしょう。
確かにその通りだと思います。私も多くのご相談をお受けしている中で圧倒的に多いタイミングです。ただ「そこにご本人の意思が反映されない」ことが多く、ご家族様もそのことをわかっているため後ろめたさや心苦しさを抱えられていることが多く見受けられます。
- 思いもかけず事故に遭ってしまった
- 急に持病が悪化して普段の生活ができなくなった
- 久しぶりに会ったら認知症が進行してしまっていた
など、状況によりますがご自身の判断ができない状態の場合がタイミングになってしまいます。できることならご自身で納得がゆくホームにご入居したいものですよね。
先日、ご相談をいただいた70歳代の女性(独居:自立)は2年ほど前から十数か所のホームをご見学されていました。ホームに入居したいと思った理由は大きく6つ。
- 食事は作りたいのでキッチン常備は必須。ただし、作らないときもあるのでホームで提供される食事を利用する事もある
- 居室の大きさは現在の部屋にあるものが全てはいるだけの大きさが欲しい(約40㎡)
- せっかくホームに入居するのだから医療体制が整っていて「終の住み家」になるところがいい
- 今住んでいる集合住宅ではゴミ出しが「前日出しは不可、当日の朝6時~8時まで出すこと」になっていて面倒でストレスなので、そこから解放されたい
- これから長生きする事を予想して、出来るだけ安い予算で
- 公共交通機関(電車・バス)の駅が近くにある というものでした。
たくさんのホームを見学したけれど・・・
役所でエリアの老人ホーム一覧を入手され、書店に行って老人ホームの関連書籍をたくさん買い込み、目星を付けたホームに自ら電話して資料を取り寄せて熟読し、さらに興味を持ったところに電話をかけメジャーと方位磁石を持って見学して・・・を繰り返すこと十数件。
まだ見落としているホームがあるのではないか?
もっと希望に叶うホームがあるのではないか?
整理がつかず辿り着いたのが弊社だったようです。
6点のご希望全てが叶うホームが存在するか否かは別にして、まだまだご見学は続きそうですが、色々なホームをご見学されてゆくうちにご自身の頭の中で「絶対に譲れない条件」と「そうだったらいいな・・という条件」の仕分けができるようになったそうです。
不動産取引で言う実需(自らが住む家探し)ではよく言われることですが、家探し(賃貸物件)は「頭の中の整理」=『消去法』です。
あれも欲しい、これも捨てがたい、とすべての希望をかなえようとすると物件はまず見つけられません。
結果的にはその不動産営業マンより『それはもうご自身で建てるしかありませんね』と苦渋の言葉を投げかけられてしまいます。
有料老人ホームの場合、一般的な賃貸住宅より明らかに数が少ない為、選択肢は限られてしまいます。このお客様の場合、多くのホーム見学を通してそのことが多少なりとも理解出来たことはホーム探しをする上で大きな前進だったのではないでしょうか?
ただ、このお客様と関わりを持つうちにはっきりしたことがあります。
このお客様がホームを探すきっかけとなったものは④番目にあります「ゴミ出しの面倒さ」であったことは間違いないようです。
そこが出発点となり、引っ越したい→食事の支度も面倒に感じるし、一人暮らしの不安もあるから有料老人ホームがいいのではないか?→まだ元気だから外出するのに利便性が良いところがいい→せっかく住むのだから見晴らしがよくて陽当りが良くてお部屋もそこそこ大きい方が良い→また引越すのも面倒だし「終の住み家」になるように医療的な連携とか介護が必要になってもしっかりフォローしてくれるところがいい・・と想像が膨らんでゆきました。
この方のように、老人ホームへの入居を選択肢としてお考えになるタイミングは人それぞれのようです。
先に書きましたように、「お元気なうちからホームに入居する」のはとても良いことだと思っています。ただ、ご自身が将来どのような身体状況になっているのか?お金(蓄え)はどのようになっているのか?しっかり吟味することが肝心です。
人生50年とは織田信長の時代です。
今では90歳、100歳のお元気なご高齢者がたくさんいらっしゃる時代です。
よく家族様から『〇〇歳まで生きているという確証があれば予算も立てられやすいのだけれど、こればかりは誰にもわからないから大変なんですよね。』というお言葉をお聞きします。
身体的な変化に対しての問題は、ホームの取り組みやスタイルによって解消されるケースはあります。
あるホームではお元気な方向けの棟(フロア)と介護は必要な方向けの棟(フロア)を同一建物内、もしくは隣同士に建てて住み分けをしています。
お元気な方向けの棟で長年生活をされながら、加齢・身体状況の変化から介護を要するお身体になった時に介護棟に住み替えが可能なる仕組みです。(この場合は住み替えの際の費用など各ホームによって様々ですので確認が必要です)
この場合であれば、将来的な転居・お引越しというストレスが軽減され、住み慣れた地域でおなじみのケアスタッフに囲まれて生活が営めそうです。
ただ、2つ目の金銭的な問題に関しては人それぞれでありとても難しい問題ですね。
それこそ「〇〇歳までお世話になる」と期間限定の話ではない為、このことを考え出したら夜も眠れなくなってしまいそうです。
貯蓄(動産・不動産などの資産)と受給年金額とを照らし合わせライフプランを設計してみてください。
急な体調変化によって入院をすることもあります。
その時はホームの費用(家賃や管理費など)はどのようになるのか?
多額の入居一時金を払ったのに状態によって追い出されることってあるのだろうか?
など、その時々のご事情に照らし合わせた対応方法がホームの重要事項説明書に明記されていることも多くありますので、しっかりした同席者(我々みんかい相談員もその一人として)を立ててお考えいただくことが最善かと思っております。
みんかい事業部 名古屋相談室室長 渡辺大志
有料老人ホームへの道程 ~渡辺家の場合~
プロローグ
私たち「みんかい」は有料老人ホームという“ひとつの選択肢”を専門にご提案しています。
何百件、何千件のご相談をお受けしお手伝いさせていただいても、その責任の重圧に押しつぶされそうになり、この先も慣れることはなさそうです。何故かというと、有料老人ホームという“ひとつの選択肢”に考えが巡り、ご家族が行動を起こすまでには並大抵のことではなかったのだろう、と心の底から思うからです。
それはお客様が有料老人ホーム探しに対して家族内で時間をかけて話合い、時には喧嘩をされ、お悩みになり、ご本人への説得を試み、どのような形であれ“準備”をしてご相談に来られているからであって、私も自身の親を通して有料老人ホームをひとつの選択肢にする大変さは「想像を絶するものである・・」と痛いほど肌で感じています。その“準備”をいつするのか?頭ではわかっていても穏やかな日常の中で考えるのは難しく、たいていのお客様は『なにかしらのアクシデント』を経験した時に“準備”を始められるようです。私の両親の場合も「病気というアクシデント」がきっかけとなり“準備”が始まりました。
母が倒れた!
私も今年で55歳になりました。当然、私を生み育ててくれた両親も歳を取り、今年で85歳です。おかげさまで両親ともに健在ではありますが、85歳ともなりますと当然、この先のことがとても心配になります。まさか、私自身が有料老人ホームを探すことになるとは思いもよりませんでした。とはいえ、父親は『俺はまだまだ元気いっぱいだ。勝手なことをするな』と有料老人ホーム探しを否定していますが・・。
父と母は新潟県の山深い地域で育った同級生だったようです。情熱的な大恋愛?期間をそこで過ごし、ともに横浜にやってきたというような話を父は酔うたびに話してくれます。
母はどちらかというとおとなしく、あまり社交性があるタイプとは言えない人で、何事も父が主導権をもって決定し、それには大きな文句も言わず従ってきたような間柄です。そんな両親ではありますが、今から7年前に「アクシデント」がありました。突然母がトイレで倒れたのです。
すぐ近くに父がいたため発見が早く、救急車を呼んで適切な処置をしてもらったため、母の脳梗塞も大きな後遺症はなかったようですが、その日から母の慣れない入院生活と父の病院通いが始まりました。この時期が渡辺家にとって初めての有料老人ホーム会議となったのです。私は当時から『民間介護施設紹介センターみんかい』の池袋相談室で【有料老人ホーム】の相談員をしており実家からさほど遠くないため、すぐに駆け付けることができました。また、私には3歳年上の姉がいて、すでに結婚してはいるものの両親が住む自宅から車で30分ほどのところに住んでいます。なにかと両親を気にかけながら様子を見てくれていましたので会議に参加できる主要家族メンバーはすぐにそろいました。
そこで思ったこと・・それは「家族の知識があまりにも疎い」ということでした。
仲の良い家族に亀裂が・・・・。
父は私たち子供にいつも見せていた威厳が保てず「どうしよう、どうしたらいいのだろう」とあたふたし、姉は「この家を売って有料老人ホームに2人で入っちゃえば?」と、一家の大黒柱として家族を支え、節約に励み、長年この家のローンを払い続けてきた父を逆なでするようなことを平気で言いだす始末で・・。
自宅で介護をするにしても、父のいままでの生活習慣から身体的に弱まっている母の面倒を見ることができるとは到底思えず、姉は姉でマンションのローン返済、息子2人の学費がありパートやら何やら毎日多忙を極めており、実家に頻繁に介護をしに来てくれる時間が取れそうになく、私に「あんたが長男なんだから、しっかり考えろ!」とキラーパスをしてきます。
そんな2人に私は、今まで通り自宅で生活することや、場合によっては有料老人ホームを選択することも今後は考えなければならないが、まずは退院後に後遺症など身体状態が悪ければ「リハビリ病院」や「老人保健施設(老健)」の選択肢があり、そこで一定期間しっかり身体の回復をおこなってもらえることを伝えました。
そこで大きな問題が・・母は「介護認定を受けたことがない」ことを知らされたのです。
私はこの仕事で多くのご家族様からの相談をお受けしてきていましたが、いざ、自分の家族のこととなると気持ちが落ち着かず冷静な判断や正確な情報発信ができなくなるものだと恥ずかしくなりました。
有料老人ホームの概要
老健への入所は要介護①以上の介護認定が必要です。有料老人ホームに入居するにしても介護認定を受けていないと選択肢は極端に少なくなってしまいます。民間の有料老人ホームの場合、土地は地主さまのものの場合が多く、いわゆる「土地活用」のために地主さまが金融機関から融資を受けて建物を建て、介護事業者に運営を任せ、家賃を取って収入を得ています。その収入が地主さまのローン返済に充てられたり、私設年金となったりしています。
よって、介護事業者の収益は家賃からは見込めず、「お世話をする手間賃(介護保険収入)」が収益の柱となるため、介護保険収入が得られない自立(非該当者)の受け入れをしない、もしくは自立者の利用料金に生活をする上で必要なサービスを自費料金として上乗せされます。その料金は有料老人ホーム運営会社によりによりさまざまですが、1万円~10万円程度まで幅があり、どちらにしても介護認定を受けているご利用者より料金が高くなる傾向があります。
介護認定の重要性
その話から「介護認定はどうしたら取れるのだろう」「すぐに認定してくれるものなのだろうか」「どうしたら・・どうしたら・・」など右往左往する家族。
そんな我々を尻目に、母は3週間ほどの入院期間を経て「ほんの軽度の麻痺」を抱えながら無事退院してきました。
医師からの「今後は在宅で生活しながらリハビリを受けに来てくれれば改善してゆくと思いますよ」という希望の言葉通り、母は若干の言語麻痺を懸命なリハビリを経て日常生活に支障ない程度まで改善させ、現在も父と2人暮らしを継続しています。
私と姉はホッとしながらも「この先のことを考えると、緊急時に備えていろいろ準備しておいたほうがいいね」と意見を合わせ、母に介護認定を取ってもらいました。あれほどの右往左往した経験を持ち、足腰の衰えがはた目からも分かるようになった父にも勧めてはいますが、いまだ「うるさい。俺は大丈夫だ。そんな都合のいいことを言って俺を有料老人ホームにでも押し込もうとしているのだろ!」と頑なに拒絶しています。介護認定は必要な人には「有効な手立て」として、今はそれほどでもない人には「お守り」になるものだと実感した出来事でした。
次回は「渡辺家の第二回有料老人ホーム家族会議~お正月が台無し編~」をお送りします。
(文:みんかい西日本エリア 渡辺相談員)
介護認定の必要性について
介護認定の必要性について
介護認定をご存知ですか?
皆様、はじめまして!相談員6年目の渡邉智美と申します。みんかいの相談員って何をしているかと申しますと、有料老人ホームを生活の場所としてご検討頂いている方に、“どのように探していけばいいのか”“どういった場所にどういった有料老人ホームがあるのか”など民間が運営している有料老人ホームを探すお手伝いをさせて頂いております。
私が6年近く相談員としてお手伝いさせて頂く中で、ご相談にいらっしゃる多くの方が「介護認定」についてご存じでいらっしゃいます。全く不思議に思わなかったのですが、最近になって「これってすごいことなのではないか」と思うようになりました。と言いますのも、私の祖母の事が思い浮かべられるからです。祖母が初めて介護認定を受けた時に下りたのは「要介護3」でした。(「要介護3」=身体状況(ADL)でいうと、車椅子で自分では歩くことが難しくなった状態とお伝えするとおおよそイメージがつきやすいかと思います。
※介護認定の判断基準はさまざまな方面から判断されますので、上記の状態でないと「要介護3」にならないという事ではありません。)
つまり、それまでは介護認定を申請すれば受けられる国のサービスを受けずに歩けない祖母のケアを家族だけで行っておりました。さらに申しますと、同居はしておりましたが平日の日中の時間帯は祖父母以外の家族は仕事をしており、祖父が祖母をケアする「老々介護」に近い状態でした。
どうしてそこまで頑張ったのか不思議ではありませんか?簡単なことです。国が行っている介護のサポート(介護保険サービス)について知らなかったからです。私の祖父母は茨城の山と川しかないところの出身で、父は福島の山に囲まれているところから上京したいわゆる田舎者です。私の知る範囲で私の親戚は家族で介護をしておりました。その他の知識や情報が全くなかったのです。
介護認定は家族を救う!
私たち家族が「介護認定」を知ったきっかけは正直、覚えておりません。ですが、「要介護3」の認定が下りて、担当のケアマネージャーに最初に説明を受けた際はこれだけ手伝ってもらえることがあるのかという感動は今でもはっきりと思い出せます。10時~16時のデイサービスを受けるだけでも「老々介護」状態は週5日から週2日となるのです。
「介護認定」の素晴らしさが少しでも伝わりましたでしょうか?私の経験からも「介護認定」を申請、下りてからさまざまなサービスが受けることができるのは、介護が必要な方や病院、介護施設で働いている人以外に知る機会がないのではないでしょうか。
ご相談にいらっしゃる方が「介護認定」をご存じだと、勝手に介護認定が下りるまでの状況を想像して、尊敬の念を抱くようになった次第です。さて、私たち家族を救ったと言っても過言ではない「介護認定」に興味をお持ちいただけたでしょうか?
簡単に言ってしまうと、国から介護サービスを受けるために「介護認定」が必要ということです。「介護認定」とは、介護保険サービスの利用希望者に対して「どのような介護が、どの程度必要か」を判定するためのものです。
65歳になると、介護保険の加入者であることを証明する「介護保険被保険者証」が交付されます。しかし、介護保険サービスは、この保険証を提示すれば受けられるものではありません。介護保険サービスの利用は、まず介護認定を受けて、「要支援もしくは要介護」の判定をもらう必要があります。
≪65歳以上の方が原則は対象ですが、40~64歳は「第2号被保険者」と呼ばれ、このうち第2号被保険者は、要支援や要介護状態になっている原因が特定疾病にあたる場合に認定を受ける事が可能です。特定疾病とは、末期がん・筋萎縮性側索硬化症・後縦靭帯骨化症・骨折を伴う骨粗しょう症・初老期における認知症などです。対象となる疾病は、介護保険法に列記されています。≫
介護認定は申請しなければ貰えない
重要なことなので何度も言います。「介護認定」の判定をもらわなければ、介護保険サービスは受けられないのです。もう大変!明日から介護サービスを利用したい!と思っても、「介護認定」の申請を行ってなければ、主治医に意見書をもらったり、書類を記入したり、認定調査を受けたりと面倒な手続きをしてからでないと利用できないのです。
では、いつ「介護認定」を申請したらいいのでしょうか。「介護認定」には「要支援1~2、要介護1~5」と7つの区分に分かれています。「要支援」は適切な介護保険サービスを受けることによって、要介護状態を予防できる状態を指します。「要支援1」は日常生活の基本的なことは、ほとんど自分で行うことができ、一部に介助が必要とされる状態です。一部の介助とは、買い物に行くときに一人だと転倒のリスクがあったり、掃除が大変になってきたり、どなたかの見守りや家事のお手伝いなどを言います。
祖父は祖母の経験があったので、立ち上がりの際にふらっとしたところとすり足で歩くようになったところを見つけてすぐに「介護認定」の申請をして、「要支援2」の判定を頂くことができました。嫌がる祖父(祖母の時に1日型のデイサービスを見学して自分にはまだ早いと思っていた)を連れて、リハビリ型のデイサービスに見学に行きました。マシーンを使ったリハビリやウォーターベッド型のマッサージ器に感動、さらには「80歳でこんなにできるなんて、すごい」と若いスタッフからのお褒めの言葉のシャワーで祖父のリハビリ型のデイサービスの参加の意思決定は即決めでございました。
何故ここに来ておちゃめな祖父の話をしたかと言いますと、「介護認定」は介護を必要としている方はもちろん、祖父のように少し体に不調が出てきて将来が不安という方でも受けられるという事です。「介護認定」は元気になる為、今の元気をなるべく持続するための手段でもあります。よく「介護認定」を受けると人生の楽しさがなくなる(終わりと表現される方もいらっしゃいます)と感じる方がいらっしゃいます。そのように考えてしまうと折角いいものが私の祖母のように受けられなくなってしまいます。
有料老人ホームへの入居にも介護認定は必要
また、有料老人ホームでも同じことが言えます。有料老人ホームで提供している介護=介護保険サービスになるので、「介護認定」の判定がない方は、有料老人ホームに入所しても介護が受けられないと複雑な状況になってしまうのです。そのため、明日にでも有料老人ホームに入所したい!と考えても介護保険サービスが受けられない以上、有料老人ホームの入所も「介護認定」を申請してからがスタートです。ただし、有料老人ホームでも種類がございまして、提供しているサービスもさまざまです。
「サービス付き高齢者向け住宅」で提供している24時間に一回の安全確認のように介護保険サービスに含まれない施設のサービスもございます。複雑で難しい話になってまいりましたね。
そこで私たち相談員の出番でございます。冒頭にみんかいの相談員は「民間が運営している有料老人ホームを探すお手伝いをさせて頂いている」と言いました。有料老人ホーム紹介センターの中でもみんかいの相談室は数多くある事が自慢です。また、お越しになることが難しい方には感染対策もしっかりとしてご自宅や病院にも伺います。大切なご家族やご自身にとって、どのように有料老人ホームを検討していけばいいのかをお気軽にご相談ください。
(文:みんかい関東エリア 渡邊相談員)