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有料老人ホームの種類と費用
老人ホームと一口に言っても多種多様。様々なタイプのものがあります。さらに、入居基準も様々、費用も様々です。しかも、わかり難いときています。時間の無い現代人の皆様が、これらのことを正しく理解し、有益に活用していくことは、実は至難の業になります。
そんな時は、私たちのような紹介センターを活用するべきです。ということが本コラムの主張ですが、けしてこれは、みんかいを使ってください、と言うことではありません。素人の人が、一筋縄では理解することができないもの。それが老人ホームなのです。

老人ホームを探した事はありますか?
たいていの人は、有料老人ホームに関わる機会は、ほぼなく、必要に迫られて探さざる得ない事がほとんどかと思います。いざという時のために、知っておいて損はない有料老人ホームの種類と費用、選ぶ時のポイントについて説明したいと思います。
有料老人ホームを探す前に、まずは「有料老人ホームへの入居動機」を確認しておきましょう。「在宅生活が不安なので、24時間の介護サービスを受けたい」「退院後、自宅に戻れないので有料老人ホームでケアを受けたい」「同年代の人たちと一緒に楽しく生活したい」など、人によって理由は異なります。
理想の有料老人ホームの探し方は、「理由」によって違ってくるため、入居動機を明確にしておくことが大切です。 入居動機がはっきりすれば、それに沿って有料老人ホームに求める優先順位を定めることができます。
たとえば、入居する際の費用や月額利用料といった料金体系、立地、受けられる介護・医療サービス、食事内容、日々の生活を豊かにするレクリエーションやリハビリテーションなど、入居するうえで何を優先するのか、自分の条件を明確にしておくことが重要です。

老人ホームには入居資格がある。
有料老人ホームは誰でもが入れるわけではなく、入居資格が設けられています。資格はホームごとに異なっており、入居時に要介護認定を受けていないと入居ができないホームもあれば、入居時に介護認定が「非該当(自立)」の人でも入居できるホーム、逆に「非該当」の人しか新規入居ができないホームもあります。また、65歳以上などと年齢制限が設けられている場合もあります。
有料老人ホームには「介護付き」と「住宅型」があります。違いは、サービス体系が異なるだけで料金や提供されるサービスに大差はありません。それよりも、各ホームのスタッフの人員体制、部屋や共用部分の広さ、立地、食事、レクリエーションなどによって、入居時にかかる費用や月額利用料に差が出てきます。どちらも終の棲家(ついのすみか)としての役割が大いに期待できます。
「介護付き」「住宅型」ともに、24時間介護スタッフが介護を行い、胃ろうなどの医療行為のために看護師が夜間配置されているホームも増えています。介護度や医療依存度が高い入居者でもホームの中でケアを受けられるようになっています。そのほかにも、自由度が高く比較的介護度が軽度な人や自立度の高い人向けに、「カラオケルーム」や「温泉」などの娯楽設備の充実を図るホームも増えています。ただし、入居者の介護度が重度化したり、認知症を発症すると、退去や介護用居室への転居などを求められる場合があることには注意が必要です。
高齢者向け賃貸住宅もある
高齢者の住まいには、有料老人ホームのほかに高齢者向けの賃貸住宅もあります。2011年4月、高齢者住まい法の改正により、それまで3種類あった高齢者向けの賃貸住宅が廃止・一元化され、「サービス付き高齢者向け住宅」となったもので、略して「サ高住」もしくは「サ付」と呼ばれることもあります。
サービス付き高齢者向け住宅は、簡単に言えば、バリアフリーや居室面積原則25平方メートル以上という一定の基準を満たした「住宅」に、安否確認や生活相談サービスなどの「サービス」がついた高齢者向けの住まいです。高齢者住まい法によって、入居者の同意のない一方的な契約解除が禁じられていることが特徴です。
この住まいはまったく新しいタイプのものではなく、従来から一部にはありました。その一方で、バリアフリー化がなされておらず、安否確認や見守り体制も不十分な高齢者向け住宅も存在していました。そこで、高齢者が安心して暮らせる住宅を供給するために、その基準を定めたわけです。サービス付き高齢者向け住宅は、登場以降、急速に増加しており、今後も増加するものと見込まれています。
サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームに比べるとゆったりとしています。居室の中に、原則として台所、トイレ、浴室、収納設備を設置すること、また手すりの設置、段差の解消、車椅子に対応できる廊下幅の確保など、3点以上のバリアフリーが条件です。
さらにサービスに関する基準として、緊急通報および安否確認サービス、職員の日中の常駐といった生活相談サービスが求められています。
これらはあくまでも最低限の基準ですので、運営事業者によっては、24時間介護職員を常駐させる、デイサービスや訪問介護事業所を建物に併設する、医療機関と連携を図りながら在宅医療を受けられるようにするなど、さまざまなサービスを取り入れようとしています。
サービス付き高齢者向け住宅は、まだ介護を必要としない人から要介護者まで、幅広く利用できます。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの介護施設に比べて生活の自由度は高く、自分のペースで生活できます。しかし、住宅によって設備やサービスが大きく異なりますので、事前に調べておくことが大切です。
その住宅の中でどのような生活が送れるのか、また将来、介護が必要になった際にはどういったサービスが受けられるのか、それは安心できる体制なのか、などをしっかり見極めて選ばなくてはなりません。

老人ホームの費用はわかり難いと言われている。
有料老人ホームの費用はわかりにくいと言われます。有料老人ホームの費用は、家賃に当たる入居時費用と、管理費や生活費(食費など)に該当する月額利用料に分かれます。
入居費用について
入居費用は、入居時に一時金を納める「入居一時金方式」、入居費用を家賃ないし家賃相当額として月額利用料に上乗せして支払う「月払方式」、その二つから任意で選べる「選択方式」の3種類が主流です。そのほか、1年ごとに家賃相当額を前払いする「年払方式」を取り入れているホームもあります。
最近、新規開設される有料老人ホームは「選択方式」をとるケースが増えており、パンフレットにおいて、入居時の費用が「30万~3,000万円」などと大きな幅で表記されているのは「選択方式」を採用しているからです。
入居費用の支払方式は多様化しつつありますが、その権利形態については大半の有料老人ホームは「利用権方式」を採用しています。
利用権方式とは、各居室や食堂、浴室などの共用部、そのほかの生活支援や介護サービスなどを終身にわたって利用する権利に対価を支払うやり方で、その対価の全額または一部を前払金として入居時に納めるのが入居一時金です。入居費用が「月払方式」でも、権利形態が「利用権方式」の場合は、その対価を月額利用料に上乗せして月々支払うことになります。
ゴルフの会員権に似たシステムですが、会員権と違うところは、入居後、利用した期間に応じて、入居一時金が「償却」という有料老人ホーム独特の制度によって取り崩され、ホーム側に回収されていくことです。
一般に、入居時に初期償却として20%~30%程度が償却され、その後5年から長い場合は15年ほどかけて全額が償却されます。定められている償却年数以内に退去した場合は規定の金額が返還されますが、償却後は、退去しても返還金はありません。
要するに、入居一時金は毎月ないし毎年目減りしていく仕組みです。また、入居一時金は、「入居金」や「一時金」などホームによって名称が違うほか、その位置づけや償却率も異なっています。
月額利用料金について
一方、毎月支払う月額利用料は、主に施設の維持や人件費などの管理費と食費、光熱費から構成されます。食費は大半の有料老人ホームは、喫食した分のみの支払いですが、一部に厨房管理費として定額の費用が必要となるホームもあります。また光熱費に関しても定額制と実費精算制があります。
月額利用料は、これらの費用に公的介護保険の自己負担額が加わりますが、その金額は入居者の要介護度によって異なります。また、入居費用が「月払方式」の場合や、入居時に支払った入居一時金が「利用権」の全額前払いでない場合は、家賃ないし家賃相当額が月額利用料に加わります。
そのほか、ホームのなかには、介護サービスにオプション料金を設定している場合があります。たとえば、居室清掃や買い物代行、リネンのレンタル、規定回数以上の入浴は多くの場合、別途料金が必要です。どのサービスにどのくらいの料金がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。
上乗せ介護費
さらに「上乗せ介護費」が必要となるホームもあります。これは、有料老人ホームの人員体制の最低基準である「要介護者3名に対して介護スタッフ1名」を上回る配置がなされている際に発生するもので、スタッフの人件費に充てられます。なお、入居一時金に「上乗せ介護費」の利用権が含まれている場合もあります。
このように有料老人ホームの料金体系は複雑かつ多種多様です。料金の標準モデルというものも存在しません。費用を見積もる際は、料金に対する疑問や不明点を質問し、納得のいくまで説明を受けておくことが欠かせません。老人ホームへ入居した後に費用の支払いが困難なことが判明した場合には、別の有料老人ホームを探さなければなりません。

有料老人ホームのまとめ
高齢者のための住まいは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のほかにも、高齢者向けの分譲マンションや公的介護保険の施設サービスと呼ばれる介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、認知症の人が生活する認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など、ひとくくりにできないほど多様化が進んでいます。
選ぶ際には、入居予定者の身体状況や理想の生活と照らし合わせながら、必要な情報を集めて蓄積し、理想の住まいの形を思い描くことが大切です。
高齢者向けの住まいに関する情報は、雑誌やウェブサイト、新聞広告など、収集に困らないほど出回っています。述べてきたとおり高齢者の住まいは多種多様化しているうえ、費用も複雑です。入居してから“こんなはずではなかった”と後悔しないためにも、有料老人ホームなどの紹介事業者を活用するのも有効な手段です。
その人のニーズに合った有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を無料で紹介し、見学の取次もします。高齢者の住まいの情報を豊富にもつプロだけに、アドバイスも的確です。
単に紹介だけではなく、複雑な料金体系や、受けられる医療・介護サービス、公的介護保険の仕組みまで説明してくれるので、どやって老人ホームを探したら良いかわからないと不安を抱かれている方は、紹介事業者を活用してみるとよいかと思います。
(文:みんかいコールセンター 二見)
老人ホームの探し方
施設紹介センターの相談員として年間400件以上のご相談をいただきます。ご相談ご家族の9割以上の方が老人ホーム探しは初めて。一生に1度2度あるかないかの大切な選択が…今まさにおこっているという老人ホーム探しに少しでもお役に立てればと思います。

「介護度」の把握
私達相談員が、日々お客様から老人ホーム探しのご相談をいただく中で、必ず確認させていただく項目の1つに「介護度」があります。「介護度」とは、どのような介護サービスがどのくらい必要なのかを判断する基準となるもので、介護区分は「要支援1・要支援2」と「要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5」に分類されます。
老人ホーム探しでご来社いただくお客様にお父様やお母様の現在の介護度を確認させていただくと「介護認定を受けているのは知っているが、要介護の区分がはたして何なのかは分からない」「離れて暮らしているので、介護認定を受けているか受けていないかも不明」というご家族様も結構いらっしゃいます。
老人ホーム探しにとってこの「介護度」はホーム選びの際の判断基準の1つです。老人ホームの入居条件にはこの介護認定が要支援、要介護に該当しない「非該当」となった場合の「自立」の方から「要介護5」の方までを対象とした幅広い種類がありますが、中には一定の介護度以上でなければ入居ができないホームもあります。
老人ホーム探しにおいては「介護度」の確認が必須であること、また介護度をまずは確認されておくことで急な老人ホーム探しにおいても方向性がみえてくると思います。
介護認定を受けるにはどうしたらよいの?という方に。
介護認定を受けるには…。所定の手続き場所(市区町村の窓口や地域包括センター)にて申請を行い、後日認定調査員(市区町村の職員やケアマネージャーなど)がご自宅を訪問して、申請した本人の心身の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りを行い、判定調査の結果、申請から1ヵ月程で要支援または要介護に該当するかどうかの結果を受けることができます。(入院中でも調査員が病院まで訪問し、認定調査を行ってもらえます)
この介護認定を受けることにより入居ホーム内においても食事、排泄、入浴、服薬管理などの「日常生活を送る上での支援」や「自立を助けるための支援」が介護保険サービスを利用して受けることが可能です。

身体状態の目安は?
《要支援1》・・歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的な動作を自分で行う事が可能で、かつ、薬の内服、電話の利用などの動作を行うことができる。
(要支援2)・・食事や排せつなどはほとんどひとりでできるが、立ち上がりなど日常生活の一部に手助けが必要で、その軽減や悪化予防のために支援を要する状態。
《要介護1》・・(部分的な介護を必要とする状態)身だしなみや居室の清掃などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
《要介護2》・・(軽度の介護を必要とする状態)立ち上がりや歩行、両足での立位保持などに何らかの支えを必要とする。排泄などに何らかの介助を必要とすることがある。
《要介護3》・・(中程度の介護を必要とする状態)身だしなみや居室の清掃などの身の回りの世話が自分1人ではできない。いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある。
《要介護4》・・(重度の介護を要する状態)歩行や両足での立位保持などが自分1人ではできない。排泄がほとんどできない。問題行動や全般的な理解の低下が見られる。
《要介護5》・・(最重度の介護を要する状態)寝たきりで排泄、食事、着替えなど日常生活全般において介助が必要。意思疎通が困難な状態。

次に「入居条件」の整理をしましょう。絶対に譲れない条件とは
老人ホーム探しにおいてご家族が判断に悩まれる要因の多くが「今までインターネットで自分でも探してみたけれど、種類もさまざま、数も無数にあり、どんな違いがあるのか、何が違うのか、はたまたどこがあっているのか。何を基準に決めたらいいのか判断に迷う…」という声です。
確かにホームは星の数ほどあれど、老人ホーム探しにとって何より外せないのはご本人またはご家族のご希望条件とホーム側の入居条件もしくは入居対象の可否に合うかどうかこれを擦り合わせていくこと。こちらが大前提です。マンション選びとの大きな違いは希望するホームがすべて入居可能なホームに当てはまらない可能性があるということです。
例えば
「年齢」(60歳以上や65歳以上)(前述の)「介護度」また「身体状況」や「医療依存度」「保証人・身元引受人の有無」などホームは安心してお過ごしてしていだたくために安全面を考慮して十分なケアができるかを上記の状況を鑑みた上で入居判断を慎重に行います。そちらを踏まえた上で老人ホーム探しにおいて整理するポイントとなる代表的な条件(項目)には、⓵「入居時期」②「費用」③「立地(環境)」④「サービス内容・体制」⑤「施設の種類」があります。
細かく見ていきましょう。
⓵入居時期
(病院入院中)
・退院を余儀なくされ退院期日が決まっている
・すぐではないが退院をしなければならない など
(老健入所中)
・退所期間の3ヵ月が近づいている。ご自宅での生活は困難
(ご自宅で生活)
・お1人での生活はこれ以上心配ですぐにでも
・熱くなる夏前には
・将来的に検討したい など
②費用
・入居時に必要となる入居金一時金・保証金・敷金の有無
・月額利用料の上限
③立地(環境)
・なるべく面会にいけるよう交通至便のよい立地
・住み慣れた土地
・自然の多い環境
・費用面も鑑みて など
④サービス内容・体制
・人員体制
・医療体制
・リハビリ体制
・生活支援サービス(外出時の送迎・付き添いなど)の提供の有無 など
⑤施設の種類
《介護付き有料老人ホーム》・・一般的には介護が必要な65歳以上の方が対象の施設ですが、介護が必要のない自立の方が利用できる混合型の施設もある。介護職員が施設に常駐し、食事の提供・掃除・洗濯、買い物代行などの生活援助と入浴・排泄・などの身体介助サービスを提供。身辺介護は24時間体制で手厚い介護ケアが受けられる。
《住宅型有料老人ホーム》・・食事や掃除、洗濯などといった生活援助サービスが受けられる。施設内に介護スタッフが常駐していないため介護が必要になったら訪問介護や通所介護(デイサービスなど)の外部のサービスを受ける。要介護度の高い方や医療依存度の高い方など入居の対象にならない場合もある。また要介護度が重くなると月々の負担が割高になる可能性も。
《サービス付き高齢者向け住宅》・・60歳以上の方が入居できるバリアフリーな高齢者向けの賃貸住宅。安否確認と生活の相談、ご希望があれば食事のサービスも提供される。介護が必要になったら外部サービスを利用し生活できるが、介護度が高くなると住み続けるのが難しくなる場合もある。
《グループホーム》・・認知症をもつ方のための小規模な共同生活施設。施設のある市区町村に住民票がある方のみ入居できる。専門スタッフのサポートのもと、可能な範囲で炊事・洗濯・掃除など役割を持ち自立した生活を行う。

良いホームとは何?
老人ホーム探しの施設に対するご質問の中で「良いホームはどれですか?」と直球で聞かれることが度々あります。ズバリ聞きたくなるお気持ちはとても分かります。が、こちらの質問には明確にお答えできないのが正直な答えです。なぜならご状態もご状況もご希望もお1人お1人違うからです。
特徴のあるホームは往々にしてありますが、状況(身体状況)・条件(期日)・ご希望(費用・環境・立地・希望されるサービス内容)はご本人またご家族ごとにすべて異なります。Aさんにとってご安心のできる条件(ホーム)でもBさんにとっては同じ温度感を感じない現象は多分におこります。
ご本人・ご家族にとって感じられるgoodが「良いホーム」に定義付けされます。このことからも老人ホーム探しの2番目としては何を優先して、どこを外さない条件とするのかの入居条件をご家族内で整理しお話しされていくと老人ホーム探しにおいての選択されたい方向性に近づいてくると思います。
今回は2つのポイントをお伝えしました。少しでもお役にたてましたでしょうか?
最後に「百聞は一見に如かず」シリーズ(←初めて)から1つ
都内のある有料老人ホームを見学させていただいた時の出来事です。七夕のイベントで入居者の方が書かれた色とりどりの短冊がホーム内に飾られていました。
流麗な字が並ぶ中1枚の短冊に目が止まり見ると「私は最初入居することが本当に嫌でした。家族にも強く抵抗しました。3ヵ月が経ち周りのスタッフさんにもよくしていただきここが家のような居心地のよい空間になりました。これからは何か目標を決めてそれを成し遂げたいと思います」
施設長からこの短冊の入居者の方が90才だと伺いました。この声がご家族に届いているかは分かりませんが、何だかとても安心した気持ちになり、私も負けてられないなと自分を鼓舞した瞬間でした。
(文:みんかい関東エリア 高峰相談員)
健康寿命を意識した高齢者向け施設の選び方

日本人の平均寿命は年々延びており、世界的に見ても日本は長寿大国としての地位を確立しております。最近、平均寿命と比較して語られるのが「健康寿命」という言葉です。施設へ入居した後もなるべく健康で過ごしたいという方に向け、健康寿命を意識した施設選びについて解説していきます。
私が高齢者向けの住まいの紹介センターの相談員を目指したのは「少子高齢化が進み、お体の不調や認知症等でお住まいに困る高齢者が増える中で、貢献できる仕事をしたい」という理由でしたが、率直に申し上げると「健康でなくなった高齢者の方を助けたい」ということです。この表現だけ見ると高齢者向けの住まいは「健康寿命が終わった方のための場所」になってしまいますが、これは大きな間違いであることが相談員を続けていく中で分かりました。これからの高齢者の住まいの適切な選び方について「健康寿命」という言葉を元に考えて参ります。
厚生労働省が定める健康寿命の定義について
そもそも健康寿命の定義って何でしょう?そう思ったので、健康寿命について調べてみました。日本人の平均寿命は2019年の厚生労働省の調査によると女性は87.45歳、男性は81.41歳です。日本人の健康寿命については、直近で2016年厚生労働省のデータしかございませんが女性が74.79歳、男性が72.14歳です。健康か不健康かの定義は、国民生活調査票(アンケート調査)に生命表を基礎情報として、サリバン法を用いて算出します。
主指標①「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」
→①に対し「ない」と答えた方を「健康」とする
副指標②「あなたの現在の健康状態はいかがですか」
→②に対し、「よい」「まあよい」「ふつう」と答えた方を「健康」とする
①と②を元に割り出されるのが「厚生労働省が定義する健康寿命」です。
※2019年の厚生労働省のレポートでは上記の算出の仕方に課題があるとしているため、今後定義の変更はあるかもしれません。

心の健康寿命という考え方
厚生労働省が定義する健康寿命の物差しで言えば、血液透析が必要な方、糖尿病で食事制限が必要な方、入院している方など、生きていくうえで行動に制限がかかっていると一律で「不健康」と認定されます。もちろんその通りかもしれませんが・・・。違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
日常生活に影響する制限がありながら、夢に向かって仕事をし、結果を出して目をキラッキラさせながら生活している方もいれば、何も病気にはかかってはいないが、日常に生きがいを見つけることができずため息をつきながら過ごす方もいます。
身体的に健康か不健康かという物差しだけではなく、心理的に健康か不健康か(言い換えれば幸福に感じているか、不幸に感じているか)という物差しも必要に感じます。厚生労働省が定義する健康寿命を「体の健康寿命」として、「心の健康寿命」という考え方です。
※心の健康に関して言えば、鬱病などの精神的なご病気については厚生労働省定義の健康寿命関わってくるため、表現の方法については精査が必要です。あくまで便宜的な言葉として受け取って頂きたいです。
健康寿命を意識した高齢者向けの住まい探しを。
高齢者向けの住まいの相談の時に、「日常生活を送る上で手伝いが必要になり、自宅で住むことが難しくなったら入居を検討します」という方が多いです。高齢者向けの住まいは“健康寿命が終わってから入居する場所”と考えている方が多いと感じます。はっきり言って勘違いです!もったいないです!!実は高齢者向けの住まいは心身の健康寿命を延ばす可能性を秘めているのです。

具体的な建物やサービス内容とは?
例えばサービス付き高齢者向け住宅は、お部屋の中にキッチンやお風呂、洗濯機置き場もあり外出も自由で、マンションと変わりないような生活を送ることができる物件が多いです。中のサービスとしては、1日1回以上安否確認サービスが付いており、お部屋で何かあった時も駆けつけてくれるスタッフの方が最低日勤帯は常駐しております。
お一人暮らしの高齢者の方がサービス対高齢者向け住宅に入居すれば、お体に何かあった時も住宅のスタッフが発見してくれるため、病気やお怪我の重篤化を予防し「体の健康寿命」を延ばすことができます。またサービス付き高齢者向け住宅にはオプションで食事をつける事ができるため、買い物や料理、片付けに使っていた時間を趣味の時間や住宅の中でのお友達との交流の時間に充てることができます。これで「心の健康寿命」を延ばすことができます。
「でも介護付き有料老人ホームは元気じゃなくなった時に入るところでしょう?」それも勘違いです!もったいないリターンズ!!介護付き有料老人ホームは、介護士と看護師が毎日勤務しており、夜中も含めて24時間体制で見守りとお手伝いが可能です。このサービス内容を見ると「やっぱり健康ではない方のための住まいでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし最近は「健康な方」や「健康になりたい」方向けの介護付きホームも増えてきております。まずイベントごとです。サービス付き高齢者むけ住宅と比較すると介護付き有料老人ホームは、ホームの中でのイベントが多い傾向にあり、お友達が作りやすく、楽しく日々を過ごしたい方はご自宅より楽しみが増える可能性が高いです。コロナ渦で少し自粛傾向ではあるものの、ホーム事で様々な取り組みが行われております。

例えばバーカウンターがあるホームでは、夜にお酒を飲んで語り合う夜レクリエーションや、囲碁将棋などのクラブ活動、ホーム内に人工温泉があるところなど、心の健康寿命を延ばす事ができる内容のホームが増えてきました。また、看護師や往診のお医者様による健康チェックや緊急時の対応は「体の健康寿命」を延ばすことに繋がります。
他にも食事にこだわりがあり、健康的でありながら美味しい食事が提供されるホームもあれば、リハビリが充実しているホームでは集団体操やスタッフが付き添っての散歩、専門家による個別のリハビリが提供されます。食事やリハビリのサービスが充実しているホーム入居することは、「心」と「体」の健康寿命どちらも延ばすことに繋がります。
介護付有料老人ホームは心の健康寿命を延ばせる!?
介護付きホームも「健康寿命」を延ばす可能性を秘めている事がお分かり頂けたかと思いますが、さらに真価を発揮するのは「体の健康寿命が終わってしまった」方に対してだと私は思っております。厚生労働省が定める健康寿命では「要介護2以上」の方は不健康とみなされてしまいますが、介護付きホームに入居すれば、「心の健康寿命」を延ばすことができる可能性があります。

歩行の不安定などお身体が理由で要介護度が出ている方の場合、先にお伝えしたリハビリやマッサージが提供できますし、生活しづらい部分をお手伝いして頂けます。バリアフリーの環境なので、自宅では使えなかった車椅子移動を選ぶことで、痛みから解放されてゆっくり過ごすことができるかもしれません。認知症が理由で介護度が出ている方の場合、ご自宅では認知症の影響による行動で「問題行動」と認識されて家族から怒られる事が多かった方が、認知症の対応に優れている介護付き有料老人ホームに入ることで優しく否定されずお世話をして頂き、ご自宅にいた時より穏やかな気持ちで過ごすことができるケースがあります。
健康的な生活を送る事が出来る施設選びを。
高齢者向けの住まいをどのように探せばいいのか、迷う方が多いですが、健康寿命の観点から考えると住まい探しの指標の一つが見えてまいります。現在ご自身の体の事で心配がある方は「体の健康寿命」を延ばすサービスを提供してくれる住まいを探せばいいです。体はお元気ですが「今の生活が楽しくない」「生きがいをもって過ごしたい」という方は、心の健康寿命を延ばすことができるサービスを提供してくれる住まいを選べばいいのです。
サービス付き住宅であれ、介護付きホームであれ、高齢者向けの住まいには心身の健康寿命を延ばす力があると確信しております。「お手伝いが必要になってから相談に行こう」と思っていらっしゃる方も、一度健康寿命を延ばすための場所として高齢者向けの住まいを探してみませんか?
老人ホームが必要となる具体的な実例も紹介
身体低下と共に変わる生活~老人ホームが必要となる具体的な実例も紹介

皆様、高齢者やその家族が老人ホームへの入居を考え始めるタイミングは、どんな時でしょうか。そして、数ある中からどのように入居する老人ホームを決めるのでしょうか。老人ホーム紹介センターに相談にいらっしゃる方に多いのは、ご自身の親についてお悩みを抱えているケースです。
例えば、
① 相談者の親御さんが、ある日、自宅内あるいは買い物などの外出時にバランスを崩して転倒してしまい、大腿骨頸部や大腿骨転子部を骨折、つまり太ももの骨の股関節部分を骨折してしまったという相談。
② 入院して手術をしたばかりなのに2週間後に退院してほしいと病院側から言われ、非常に切羽詰まった状況での相談。

骨折してしまうことで変わる生活
高齢者の骨折はADLの低下を招きます。ADLとは、日常生活動作のことを指します。具体適には「歩くこと」「着替えをすること」「入浴すること」など、日常生活を送るうえで欠かせない基本的な動作のことです。特に大腿骨など下肢の怪我は生活に大きく支障をきたし、特に高齢者は一人で生活を送ることが困難になり、場合によっては寝たきりになってしまう危険性もあります。
そのため、骨折で入院した後は、できるだけ早く骨折した部分を金属で固定する手術や、股関節部分そのものを人工骨頭に置き換える手術を行います。しかし、ご年齢や体調が優れない場合、麻酔の負担に耐え得る体力がないなどの理由によって手術が行えない場合もあります。その場合は骨がくっつくまで長期間ベッドで安静にしていなければいけないので、その間に筋力、特に下肢筋力が衰えてしまい寝たきりになってしまうことがあります。
また、毎日ベッドの上で過ごすうちに時間や曜日の感覚が薄れ、認知機能も低下してしまい認知症を発症する方もいます。運良く手術を行えた場合は、できるだけ早くリハビリをはじめて寝た切りを予防しますが、それでも骨折前と同じようには歩くことができなくなり、杖や歩行器や車椅子が必要となる場合があります。

自宅まで階段を使う生活環境の方は注意
最近はバリアフリー住宅も随分と普及していますが、高齢者の生活環境はまだまだ大小さまざまな段差に囲まれています。エレベーターが設置されていない集合住宅で生活されている方もいて、スーパーなどへの買い物や病院への通院、何をするにも階段や道路の段差が障害となって負担を感じ、せっかくリハビリを頑張って退院してもだんだんと外出自体が億劫となり引きこもるようになってしまった結果、さらにADL・日常生活動作の機能を低下させていきます。
子供達が近くに住んでいれば手助けをしてくれることもあるでしょうが、子供達にも日々仕事があり、それぞれの家庭、それぞれの生活があるため、今の時代「同居」という選択肢を選ぶことは難しく、また毎日通って親の生活の支援をするというのも現実的に難しいでしょう。
老人ホームを探すこと

一言で老人ホームといっても、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどの種類があり、身体の状態や、認知症がある方、ない方などで、合う、合わないといった問題もあります。かかる費用やヘルパーなどスタッフの人数、レクリエーションが多いとか、少ないとかなどの違いもあります。
老人ホームの費用はどのぐらいかかるのだろうか、親の年金の範囲でおさまるのだろうか、さまざまな不安を抱えて老人ホーム紹介センターに足を運んでくださるのです。老人ホームに入居されるご本人様が、「終活」と称して自宅で生活できなくなった時を想定して事前に老人ホームを探すということもございますが、何かあったらここにしようとしっかり決められている方は少ないです。
そもそも、事前に目星をつけて気に入った有料老人ホームをみつけていても、いざというとき空室があるのか、実際に入居ができるのか、その時になってみなければわからないのです。なぜなら、有料老人ホームには「入居要件」がございます。
基本的に65歳以上という年齢や介護認定を受けていることなどが挙げられます。怪我をしてADLが低下してから、どのような身体介護が必要になっているのか、看護師による医療的な処置が必要なのかなどは事前にはわかりません。多くの方は自分の親が喜んでくれるような老人ホームを探したいというお気持ちを強くお持ちですが、一体何を重視して老人ホームを探せばいいのでしょうか。

具体的な事例
「皆さん、一体どうやって老人ホームを決めているのですか?」と、ご相談に来られる方は質問されますが、答えは1つではありません。人によって、家族によっても有料老人ホームに求める大切な点はそれぞれ違います。
例えば、「うちの母親は認知症もない、ちょっとした転倒から骨折してしまって歩行器が必要となったけど買い物が負担になっているだけだから、まだまだ今と同じように元気で自立した生活を送ってほしいので、何でもかんでもやってくれるところだと返ってよくないのでは」。そうおっしゃるご相談者ですが、話を聞いていくと入居対象となるお母様の年齢は90歳を過ぎており、以前は多趣味でいろいろなサークル活動に参加するため毎日外出していたのに、最近はお惣菜を買いに行くのが精一杯で、家にいるときはずっとソファに座りっぱなし。テレビをつけてはいるものの本当に観ているかどうかはわからず、時々おトイレに行くのも間に合わなく失敗してしまう。昼夜問わずに毎日息子様に電話して、あれがない、これがないと失くし物の相談をされているご状況でした。
果たして、この方の自立した生活を支援とは、どのようなポイントが大切になってくるのか。息子様が認識しているお母様のご状況は、本当に元気で自立した生活といえるのか。老人ホームへの入居を考えるとき、入居費用や月額費用、場所などもとても大切です 。ただ、それ以上に今どのような手助けを必要としているのか、今後どのような手助けが必要となってくるのか、いま目の前にいる親が何を必要としているのかをできる限り知ることも大切です。正確に認識することが大切です。

介護付有料老人ホームで過ごす生活とは
介護付有料老人ホームは、24時間介護資格を持ったヘルパーが常駐し、掃除や洗濯、食事も上げ膳据え膳でお手伝いしてくださいます。かわりに、今まで自分のペースで送っていたご生活は、食事の時間や入浴の時間・回数をホームの都合に合わせた時間割りに添って過ごすことになります。
しかし、有料老人ホームには24時間ヘルパーがいるので、昼でも夜でも不安なことがあれば話を聞いてくれる人が近くにいます。もちろん、ヘルパーは介護という多忙な仕事をしているわけですから、常に話し相手をできるわけではないです。しかし、「部屋の中にあれがないの、誰かに盗られてしまった」と言えば、「では、後で一緒に探しましょうね」。と言うことができます。
毎日、朝昼晩の食事の前に「お手洗いは大丈夫ですか? 一緒におトイレに行きましょう」。と声をかけてくれる人がいるから、間に合わなくて失敗してしまうということも減っていく可能性があります。食事以外にも、「今日は皆さんで絵葉書を作ってみませんか?」、「今日は皆さんで体操を頑張りましょう!」と、ただソファやベッドの上で座っているだけの時間に声をかけてくれる人がいます。
本人としっかり向き合うことの大切さ
いま、自分の親が何を本当に必要としているのか、本当は何を求めているのか。そのことに気づいてあげること、理解してあげることがとても大切なことだと思います。その気づきや理解の深さが納得のいく老人ホーム探しの大きなポイントです。ご両親やご家族様の老人ホームへの入居を考えるとき、まずは入居を必要とする方の状況をよく知ってください。そこからがスタートです。そして、老人ホーム紹介センターにぜひともご相談ください。お母様、お父様が何を必要とされているかをお伺いし、どのような老人ホームがご希望に合っているのか、納得のいくホーム探しをお手伝いさせていただきます。
(文:みんかい関東エリア 入江相談員)
老人ホーム入居先を選ぶ際の注意点
老人ホームの入居先を選ぶ際の注意点
皆さんはご家族、ご自身が「老人ホームへ入居する」という事について、どれだけ真剣に考えたことがあるでしょうか。自分の両親が元気なうちには全くと言ってよいほど、老人ホームに入居する、入居させることなど想像もしないことだと思います。今回は、老人ホーム探しをする上で注目すべき項目についてご紹介させていただきます。

老人ホームの入居先をどのように探すか。
老人ホームを探す際に様々な方法で調べると思いますが、私たちが行っている「老人ホーム紹介会社」を利用される方は年々増加傾向にあります。しかし、一般の方で老人ホーム紹介センターという存在をご存じの方はまだまだ少数だと思います。いざ、ご家族やご自身に介護が必要になった時に、ゆくゆくは介護施設(老人ホーム)への入居を検討することになるかもしれませんが、どう探していけばよいのか?
誰に相談できるのか?自分では何から手を付ければ良いのかわからない!そういった方々に、大切なご両親、ご家族様の今の身体状況、今後の身体状況、さらにどのような老後を過ごしていくことが出来る老人ホームがあるのかをご提案しております。一口に老人ホームと言っても、様々なタイプがあります。何を基準にして老人ホームを探していけばよいのか、とても難しい問題です。

具体的にどうすればよいのか。
希望の場所、予算、医療体制、レクリエーション、リハビリなど検討する項目はたくさんあります。今は一昔前とは異なり、インターネットの環境もあり、パソコンが無くてもスマートフォンがあればご自宅でもどこでもすぐに調べることができるようになっています。老人ホームの紹介センターも多数存在し、どこの紹介センターを選ぶのかだけでも迷ってしまうくらいです。
そんな気軽に老人ホームを調べたりできるのだから、わざわざ老人ホーム紹介センターなどというものを使う必要はないのでは?と思われるかもしれません。実際に老人ホームをインターネットで検索してみてください。
確かに、老人ホームの場所、費用などは簡単に検索が出来ます。見栄え良くホームページも作られており、なんでも希望が叶えられるのでは?と思えます。しかし実際にはその中から、本当にご両親、ご家族に合っている老人ホームを探し出すことは容易ではないということがおわかりになるかと思います。

入居先を探すことが容易ではない主な要因。
① 老人ホーム入居の場所選び
今は核家族化で、大人数でひとつ屋根の下でのご生活をされている方は少なくなっています。当然、老人ホームに入居を検討されているご兄弟やお子様世代、お孫様世代の方は別々の地域でご生活されている方が多いのではないでしょうか。
そんな中、ご入居された後にご本人への面会や入院時の対応なども出てきます。ご家族皆様がそれまで在宅での介護に関して、平等に関わってこられているとも限りません。キーパーソンとなられている方がいらっしゃると思います。その方がメインで色々な対応をされていたとすれば、なにか急を要する状況になった際に、すぐに駆け付けることが出来る場所、またはご本人が永らくお住いになっていたことがあるなど愛着がある場所、自然がお好きで山や海が見える環境など様々に考えられます。
実際に入居のご相談を伺っている中で、別々の場所にいる家族の中間地点が良いのではないか?というお話もあります。そういう時には、私はキーパンソンとなっている方のお住いに近い場所をお勧めしています。夜間にご本人が急変し、老人ホームや搬送先の病院に行く必要があった場合、夜中なので公共交通機関は動いていません。タクシーや自家用車で動ける範囲が安心できる場所になるかもしれません。

② 老人ホーム入居の予算
予算に関しては、老人ホームを選ばれるときに一番重要になる部分かと思います。正直、入居に関する費用はピンからキリまでです。先ほど【老人ホーム入居の場所選び】でキーパーソンとなる方の近くが良いのではないかと書きましたが、特に東京23区のいわゆる高級住宅地のようなエリアでは、家賃が高額になります。
想像してみてください、利便性も良く、環境も良い一等地と呼ばれる場所で戸建て、マンションを購入または賃貸で住むとします…。土地の価格が高いため、当然賃料も高くなっていると思います。老人ホーム毎月の費用には、部屋の賃料、食費、サービス費などなど老人ホームにより多少中身は異なるものの、大きなウェイトと占めてくるのが「賃料」です。
この「賃料」が場所によって通常の戸建て、マンションのように開きが出てくる部分です。施設運営会社が同じ老人ホームであっても、場所が違えば当然毎月の費用にもこの差が生じます。建物や介護内容、その他が同じでも異なる費用の場合がほとんどですので、予算を重視される場合には、気に入った老人ホームがあるが費用面で悩まれるときは、都心か多少離れても賃料分が安く、それでも内容は同じ郊外にある同運営企業の老人ホームを選択するのも良いかもしれません。また、老人ホームに入るには最初にかかる費用、いわゆる入居金が高いのでは?と思われるでしょう。
確かに昔は必ずと言ってよいほど入居金がありました。現在は入居金(賃料の前払いという性質)を支払い、毎月の費用を抑えられるプランや、入居金は0円で月々のみの支払いでご入居いただけるプランを選択できるようになっている老人ホームも多くなっています。数年分の賃料(多くは5年分程度)を前払いしてしまうため、その間の毎月の費用を抑えることができます。多くは5年程度の償却期間で入居金は毎月均等に償却されていきます。償却期間内でのご退去があった場合には、残りの月数に応じて返還金がきちんと発生します。
また、ほとんどの老人ホームでは、償却期間終了後には再度の入居金の支払いは必要無く、初めに選んだプランの月額費用でその後も継続入居できるため、ご年齢も若く、長くご生活されることが想定される場合には、結果として費用の総支払額を抑えることができるようになっています。
逆にご病気などで、いつご入院によって、元いた老人ホームに戻れなくなるかわからないという方や、100歳に近いご高齢の方で今後5年以上のご入居はあまり現実的ではないという方が入居金をお支払いするプランを選択する大きなメリットは少ないと思います。多少毎月の費用が高めに見えても、月払いのプランが選択可能な老人ホームであれば、そちらを選択する方が良い場合もあります。その方がどれだけの期間お住いになるかは正直わかりませんが、ご年齢やご病気、ご予算などを考えながらご紹介させていただいております。

③ 医療対応・レクリエーション・リハビリなど
ご入居されるご本人のご病気、趣味やリハビリを必要とするのかそうではないのかによっても、老人ホームの選択は変わってきます。多くの老人ホームでは看護師が朝の8時台から19時頃までのいわゆる日勤帯で常駐しています。よくあるのが、食事が飲み込むことが難しく、直接胃にチューブから栄養を流し込む「胃ろうと」呼ばれるような経管栄養の方は、たんが絡みやすくなり、吸引が必要になります。
この行為は、医療行為にあたるため看護師が行わなければなりませんが、一部の老人ホームでは看護師以外に、研修を受けた介護職員が行っている場合もあります。頻度にもよりますが、看護師がいるときだけに必要とも限りません。そんな時は看護師が24時間常駐する老人ホームや、研修を受けた介護職員が夜間帯もいる老人ホームを選択する必要があります。
ご本人のこれまでの趣味や、脳梗塞などの後遺症により継続したリハビリが必要だという方には、お好きな趣味に関するレクリエーション活動がどのように行われているのか、リハビリの専門家(理学療法士や作業療法士、柔道整復師)による集団、個別のリハビリが受けられるのかなどの確認も必要です。
(文:みんかい事業推進部 松野)