みんかい | 民間介護施設紹介センター

有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書(総括編)その2

有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書(総括編)その2

☆以前のアンケート報告書はこちら☆
<前回の記事>
有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 総括編(その1)

<501人アンケート 入居者編>
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その1)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その2)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その3)
有料老人ホームに対するみんかい入居相談者501人アンケートの報告書(その4)

<501人アンケート 相談者編>
有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 相談者編(その1)
有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 相談者編(その2)
有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 相談者編(その3)
有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 相談者編(その4)

考察3
老人ホームに求めているニーズと老人ホームを探そうと思った理由に関する考察です。

表5老人ホーム探しで一番重要なこととは何か

 老人ホーム探しで一番重要なこととは何か?という質問に対し「予算」であるという回答が一番多く寄せられました。まさに、当たり前の結果です。考察2の通りです。次が「介護の質」に関することが漠然と重要であるという結果になっています。

 まずは、この部分についてレポートを整理していかなければなりません。紹介センター業界の目線で言うと、多くの相談者の予算は、右肩下がりに下がり続けています。つまり、年々、予算の少ない人が増えているということになります。

ただし、この現象の中の一つには「みんかいだから」という固有の事情が含まれている可能性もあります。みんかいでは、他の紹介センターが毛嫌いする低予算の相談者であっても、見捨てることなく、相談対応をしています。これは、みんかい創業からの精神でもある「困っている人がいれば、助けなくてはならない」という文化があるからです。

 しかし、一般論としては、次の2つの視点から、今後もこの低価格傾向が続くと考えることができると思います。一つは、介護保険事業が定着し、老人ホームというカテゴリーが大衆化してきた為、多くの高齢者を持つ子世代が、要介護状態の親の老人ホーム入居を検討することが不自然ではなくなったという視点です。

つまり、入居希望者の絶対数が増えています。当然、入居検討者が増えることで、潤沢な予算がある人ばかりではなくなる為、低価格帯を希望するニーズが高まっているということになっていきます。もう一つの視点は、高齢者自身の資産の劣化です。例えば、昔は大企業に長年勤務し定年を迎えると、多額の退職金を手にすることができました。

さらには、支給される年金もそれなりであった為、それらの資産を活用し老人ホームで生活する為の資金に充てるということが、けして無理なことではありませんでした。さらに、子供も兄弟姉妹が複数いるケースが多かった為、万一の時の親への支援も、一人の子供にかかる負担は分散していたはずです。

 しかし、社会構造の変化により、多くの人は転職を複数回繰り返し、定年退職イコール退職金の獲得、という構図は弱まりつつあります。また、仮に退職金があったとしても、その額は、減りつつあります。さらに、子供も少なく、中には子供がいないケースも珍しくない為、子世代からの経済援助も期待できません。そのような背景から、今後も老人ホームの予算は、低価格志向が強まるのでは?と考えています。

 介護の質についてです。老人ホームに求めるニーズとして「介護の質」と回答した相談者が多くいました。前回の相談者レポートでも論じましたが、介護のことをよくわかっていない相談者の回答なので、ここでいう介護の質とは、介護事業者が認識している介護の質とは、多少違うと考えるべきだと思っています。

表6老人ホームを探そうと思った理由のうち、介護の質に言及している回答一覧

 なぜなら、老人ホームを探そうと思った理由に関するアンケートを見る限り、介護の質に言及している回答は多くないからです。

 ちなみに、探そうと思った理由のアンケートにおいて、介護の質に言及している回答は、「対象者の健康」「対象者の安全」「対象者の不安」「リハビリ希望」「プロにお願いする方が安全」「医療的支援が必要」などで、全体のわずか1%です。ちなみに、精神的負担の為が32%、肉体的負担の為が26%、時間的負担の為が18%になっています。

 この“ホームを探そう”と思った時の3大理由は、家族側の理由です。したがって、この結果を見る限りでは、相談者が求めている介護の質とは、次のようなことだと考えるのが妥当ではないかと思います。
 相談者が考える「介護の質」とは、介護支援の質自体の話ではなく、介護支援のメニューのことではないかと考えます。

 例えば、当該介護支援サービスは、無料なのか有償なのかとか、入浴日は週何回あるのかとか、看護師は24時間常駐しているのか、と言ったことを指します。ちなみに、介護の質について言及する場合、看護師が配置されているかどうかではなく、その看護師は、どのような経験や実績を持ち、どの程度のスキルがあるのか、に言及しなければならないはずです。

 さらに、拒否をされずにスムーズに受け入れてくれることや自分たちの都合やわがままを無条件で聞き入れてくれる寛容さのことも質として考えているのではないかと思います。老人ホーム評価の中で、今でも多くの老人ホームが、そしてケアマネジャーを含む多くの介護関係者は、「入居(利用)を断る老人ホーム(介護事業者)はダメなホームである」という思想があります。

 これは、老人ホームに限らず、訪問介護であれ、通所介護であれ、なんであれ同じです。せっかくケアマネジャーから紹介してもらった利用者を事業者側の理屈で断った場合、2度とそのケアマネジャーからの紹介は得られないという思想は、けして珍しい思想ではありません。介護業界内では散見される思想です。

 ちなみに、この思想は、一概に「良い」「悪い」を評価するものではありません。がしかし、多くの業界関係者は、利用者や入居者の利用や入居を断らない事業者は、良い事業者(実際は都合の良い事業者)であると評価をしていることは、介護あるあるだと思います。

 今回のアンケートにある「介護の質」を重要視しているという回答の多くの部分は、実は、このような思想に由来しているものではないかと推察しています。そうであれば、多くのことに合点がいきます。「断らない介護」「入居者のリクエストに応える介護」。多くの老人ホームが他社との差別化の中であげているアピールポイントです。

【結論】
 老人ホームを探している相談者の多くは、予算を重視して探しています。なお、予算は、右肩下がりに下がっていく可能性が高いので、低価格帯の老人ホームに対するニーズは増えていくとも考えます。

さらに、「介護の質」に言及している相談者は、多く存在していますが、相談者の言っている「介護の質」とは、介護支援の質のことではなく、介護支援の内容やメニューのことだと考えます。わがままを聞いてくれるホームが「介護の質の高いホーム」ということだと思います。

今回のレポートのまとめです。

 老人ホーム探しの主役は実子です。実子が要介護状態の親に代わって探しています。
 探しているホームの予算は、原則、親の資産の範囲内で探します。どうしてもというときには、実子が経済的な支援をします。

 したがって、老人ホームは、入居対象者の経済事情に左右され、その事情により、地域が確定していきます。さらに、ホーム探しで一番重要なものとは何かという質問に対する回答で「介護の質」という回答が多く寄せられました。がしかし、今回のアンケート結果からは、介護の質が介護支援に対する具体的な質ではないこともわかりました。

 相談者が重視している介護の質とは、介護支援サービスのメニューのことになります。したがって、これから老人ホームを探そうという方や自身が将来、老人ホームに入ろうと考えている方は、希望地域の価格感とその価格感で提供されるサービスメニューについて整理しておくことが重要だと言うことになります。

 ただし、老人ホームのサービスの場合、その多くは、実際にそのメニューを「誰が実行してくれるのか」によって、サービスを受ける側の満足度は大きく変わります。

 同じサービス内容のメニューであっても、関わる介護職員の質によって雲泥の差がありますが、この部分は、パンフレットなどの広告宣伝用ツールやインターネットの情報だけでは、まったくと言っていいほどわかりません。したがって、老人ホームを探す中で、この部分は重要だと考える方は、老人ホームの専門家に相談することも有益だと考えています。

 みんかいでは、この501人アンケート結果を踏まえ、これからも、相談者の必要度に応じて、生身の相談員による相談体制を引き続き継続していきます。

有料老人ホームの入居相談者501人アンケート報告書 <完>

【お知らせです】
 居宅介護支援事業者様、地域包括ケアセンター様、行政様などに対し、501人アンケートレポートに基づく「老人ホームの探し方講座」を企画しています。ちなみに、「老人ホームの選び方」ではありません。「探し方」です。
 「選び方」とは、「探し方」を理解された方に対する次のステップアップ講座という理解をしています。

 講座対象は、地域住民の皆さん、介護保険サービスを利用している高齢者やその家族の皆さんをはじめ、事業所の職員の方の研修などにも活用できると思います。

 ご興味がある方は、みんかいコールセンターまでご連絡をいただくか、みんかいホームページ内にあるINFOメールにてご連絡をお願いします。原則、講座は対面で実施したいと考えておりますが、時勢を考え、オンライン方式でも承ります。

元気かいみんかい編集部

連絡先
Mail:info★minkai.jp
(メール送信の際は★を@に変えてください)
フリーダイヤル:0120-57-5950